【 31番外】モーニング
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
開店前の時環遊技場。まだ店内に客の姿はない。
160番台――三つ巴の前で、従業員アンドロイドが盤面を確認していた。
「160番台、モーニングを仕込みます」
その声に、店主が台を覗き込む。
「今日は権利終了直後の状態で」
三つ巴は、三つのデジタルを使った一回権利の台だ。
大当りすると上部の電動チューリップが開き、玉が役物へ流れ込む。そこでVゾーンに入れば権利が発生する。
そして、この台には昔ながらのモーニングがある。
権利終了直後の状態を仕込んでおけば、朝一の最初の一回転で、次回の確変に入るかどうかを判別できる。
従業員アンドロイドが玉を二つ取り出した。
「Vゾーンへ二個」
「それで権利終了直後の状態になる」
店主が見守る中、玉がVゾーンへ収まる。
三つ巴のデジタルには、七・六・七が表示されている。
「表示は?」
「七六七のままです」
「そこが面白いところだね」
店主が笑った。
「見た目だけじゃ、モーニングかどうか分からない」
従業員アンドロイドが頷く。
「朝一の一回転を確認します。中図柄が奇数なら次回確変。偶数なら通常」
「そういうこと」
仕込みを終えた二人は、次の台へ向かった。
163番台――ハイウェイ。
こちらも権利モノだが、三つ巴とは仕組みが違う。ハイウェイは、二つのデジタルを使う変則三回権利物だ。
33と77が大当り。37と73は小当り。そして、どちらが当たっても、その後は天国モードへ移行する。
「こっちは仕込み方が違う」
店主が台を見ながら説明する。
「電源投入時に、スタートセンサーが玉を検知している状態にします」
「すると最初の回転が?」
「73です」
「小当りから天国」
「はい」
二つのデジタルを眺めながら、店主が頷く。
「こっちは見た目で分かるんだったね」
「左右のデジタルが、通常とは違うタイミングで回ります。それが朝一の目印になります」
準備を終えた従業員アンドロイドが立ち上がった。
「160番台、163番台。仕込み完了」
「よし」
店主は二台を見比べた。
そして、開店時間。
自動ドアが開き、待ち構えていた常連たちが一斉に店内へ流れ込んできた。
「三つ巴!」
「160番!」
「ハイウェイも見ろ!」
160番台の前に客が集まる。
液晶には――七・六・七。
「七六七!」
誰かが笑う。
「だから、それじゃ分からねえんだって!」
朝一の一回転を確かめるため、客たちは台から台へ移動していく。
「偶数!」
「次!」
そんな声が飛び交う中、163番台を覗き込んだ男が突然、身を乗り出した。
「……あっ!」
二つのデジタルを見比べる。
「ズレてる!」
近くにいた客も画面を覗き込んだ。
「ほんとだ!」
男が慌てて玉を打ち出す。二つのデジタルが回転する。そして――
「七、三!」
小当り。
「来た!」
小当りを終えたハイウェイは、天国モードへ入る。男がハンドルを握り直した。
「ここからだ」
再びデジタルが回り始める。
「来た!」
今度は七、七。
「大当り!」
「早っ!」
「天国、強え!」
男が笑った。
「今日はハイウェイだ!」
その一方、160番台。
デジタルが止まった瞬間、男が画面を指差した。
「……奇数!」
一拍置いて、
「よっしゃああああ!」
周囲からも歓声が上がる。
「三つ巴、あったぞ!」
「マジか!」
「俺も探す!」
上部の電動チューリップが開いた。玉が役物へ流れ込み、ピンボールのように跳ね回る。
「入れ!」
玉がVゾーンへ吸い込まれた。
「よっしゃ!」
男はハンドルを右へ回した。玉が右側の役物へ流れ、回転体を経由してチャッカーへ入る。
アタッカーが開いた。
「来た来た!」
玉が次々とアタッカーへ吸い込まれていく。十六ラウンド。権利終了。
男が息を吐いた。
そして、再びデジタルがくるくる回り、奇数で止まった。
「……奇数」
一瞬の間。
「よっしゃあああ!」
また歓声が上がった。
その隣では、「俺、偶数だったー!」と、別の客が頭を抱えている。
「じゃあ次!」
その声に、別の客が笑う。
「まだ探すのかよ!」
「朝一だぞ!」
「当然だろ!」
また一人、別の台へ走っていった。
店主はカウンターの奥から、その騒ぎを眺めていた。三つ巴は、表示だけではモーニングを見抜けない。だから、客は朝一の一回転を打つ。
ハイウェイは、左右のデジタルのズレが目印になる。同じモーニングでも、台によって探し方が違う。
開店して、まだ数分。
時環遊技場は、すでに普段の静けさを失っていた。三つ巴の役物で玉が跳ねる。
ハイウェイのデジタルが回る。そして、また誰かが叫んだ。
「よっしゃー!」
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