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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
私は、鬼の里へすてられた…。
本文
私はゆっくりと両方の目をつぶる。
「………。」
瞼を閉じると、視界を支配していた赤黒い篝火の光が遮断され、内側の暗闇にじっとりとした静寂が広がった。 視覚が消えたことで、逆に周囲の音が尖って耳に突き刺さってくる。
鬼たちの下卑た笑い声、肉を噛みちぎる音、そして目の前の赤鬼の胸の奥から響く、ドク、ドク、という驚くほど力強く、重い心臓の鼓動。
(あれ?)
「ちょっと、人の話聞いてる!?」 ガバッと目を開けると、目の前には、これでもかってくらい真っ赤な顔をして、ワタワタと慌てている大男の顔があった。
「な、なんだよその『どうぞ喰ってください』みたいな顔は! 俺は別に、お前を晩御飯のおかずにしようなんて一言も言ってねえだろ!?」 赤鬼は、私の手首からツッコまれたみたいに素早く手を引っ込めると、頭の後ろをバリバリと掻きむしった。
「ったく、人間の村の連中も人使いが荒いっていうか、捨てるにしても極端なんだよ! 俺の名は厳牙(げんが)だ! 勝手に絶望して死んだ魚みたいな目をしてんじゃねえよ。つまらねえ人間の都合なんざ、この里じゃ誰も気にしねえ。おい、泣くな! 泣いてねえけど、そんな顔すんな! あーもう、めんどくせえ!」
一人で勝手に大パニックを起こしている。
周りの鬼たちも 「おい厳牙、人間の女にフラれたのか?」 「ダセえぞー!」 と、完全にヤジ馬モードでゲラゲラ笑いながら、おつまみの骨を投げつけてきている。
「……ぷっ」 あんなに絶望していたはずなのに、目の前の赤鬼が頭を抱えてのたうち回っているのを見たら、お腹の底からおかしな笑いが込み上げてきてしまった。
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