5.警備員・三谷
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ゆすり屋の男が、人気のない廃工場で殺害された。 犯人と目されるのは、彼に殺意を抱く二人の男。 互いの存在を知らぬまま現場へ向かった二人の行動には、奇妙な食い違いがあった。 何気ない発言や不自然な行動、現場に残された小さな痕跡をつなぎ合わせたとき、事件の構図は思いもよらぬ形へ反転する。 二つの殺意が交錯した先に待つ真相とは――。
本文
雨の降る中、三谷は車を走らせていた。
これから自分が行うことを、頭の中で何度も反芻する。
やがて車は人気の全くない、S町郊外にぽつんと建つ廃工場に到着した。三谷は雨でぬかるんだ敷地内に車を停める。車内のデジタル時計は九時を表示していた。
「よし、あいつと落ち合う時間よりだいぶ早く着いた。あとは物陰にでも隠れて待ち伏せして、あいつが来たら不意を突けばいい。大丈夫。上手くいく」
三谷は持参した果物ナイフを手に取ると、意を決して車を降りた。
足音を忍ばせながら、薄暗い廃工場の中を進む三谷。
「うわあーっ!」
ほどなくして、廃工場内に男の悲鳴が響き渡った。
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