【47番外】ホログラムの店主
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
午後の時環遊技場。
いつものように、パチンコ玉の音と店内放送が響いている。
店主はカウンターで、常連客と話をしていた。
「そういえば店主さん、この前の台ですけど――」
「ああ、あれですね。もう大丈夫ですよ」
そのときだった。
店主のすぐ後ろを、一人の男性が通り過ぎた。
「……ん?」
常連が振り返る。
店主も振り返った。
そこにいたのは、店主だった。
いや。
もう一人の店主だった。
見た目は今より若い。髪も少し黒く、顔つきにも若さが残っている。しかし、服装は店主が昔着ていたようなものだった。
若い店主は何事もなかったように店内を歩いている。
「……店主さん?」
常連が、目の前の店主を見る。
「はい?」
「あの……」
もう一度、奥を見る。若い店主がいる。
「店主さんが……二人います」
現在の店主も、そちらを見た。
「……あら」
さすがに一瞬、目を丸くする。
若い店主もこちらに気づいた。
二人の視線が合う。しばらく見つめ合ったあと、若い店主がにこりと笑った。
現在の店主も、つられるように笑う。
「……私ですねぇ」
「いや、そこじゃないでしょう!」
常連のツッコミが飛んだ。
店主は若い自分をじっと眺める。
そして――
「……私が、増えました!」
目がキラキラと輝いた。
「そこ喜ぶんですか!?」
「ええ。これは便利ですねぇ」
店主は嬉しそうに若い自分へ近づいていく。ホログラムのはずなのに、肩をぽん、と叩いた時に感触があった。
「……触れますね」
「ホログラムですよね?」
常連が驚く。
「そうみたいですねぇ」
店主はますます嬉しそうだ。
そこへ従業員アンドロイドがやってきた。
「店主、どうしましたか?」
「見てください。私がもう一人います」
「……確認しました」
従業員アンドロイドは若い店主を見る。
「ホログラム店主、こんにちは」
「こんにちは」
若い店主が普通に返事をした。
常連が固まった。
「普通に会話した!」
「では、ホログラム店主。こちらをお願いします」
従業員アンドロイドが、近くの台を指差す。
「分かりました」
若い店主はすぐに歩いていった。
「ちょっと待って!」
常連が追いかける。
若い店主は羽根モノの台の前で立ち止まり、盤面をじっと見ている。
「……ここですね」
玉の動きを確認し、釘の微妙なズレを見つける。
「店主さん、これって……」
現在の店主が横から覗き込む。
「ええ。少しだけ調整したほうがよさそうですね」
若い店主は手際よく調整を始めた。
「うわ……」
常連が呟く。
現在の店主は、嬉しそうにそれを眺めている。
「いやぁ、懐かしいですねぇ!」
「懐かしいって、自分ですよね?」
「そうですねぇ」
ほどなくして、別の台の呼び出しランプが押された。連動して、島の端のランプがキラキラと光る。
「店主さん!」
常連が呼ぶ。
現在の店主とホログラム店主が、同時に振り向いた。
『はい』
声までそっくりだった。
「……二人とも店主だ」
常連たちが笑う。
その台では、玉の流れがおかしくなっていた。
若い店主が先に駆けつける。
「少し見てみましょう」
台を開け、内部を確認する。現在の店主も隣から覗き込む。
「どうです?」
「ここですね」
若い店主が原因を見つけ、手早く対応する。
「はい。これで大丈夫です」
台を閉める。玉が再び、軽快に流れ始めた。
「完璧ですねぇ」
現在の店主が嬉しそうに言う。
「ありがとうございます」
「……自分にお礼言ってる」
常連が笑った。
その後も、ホログラム店主は大活躍だった。マイクを持って店内放送をしたり、ドル箱を運んだり、台の様子を見回ったり。
「それでは、こちらお願いします」
「はい」
従業員アンドロイドも、すっかりホログラム店主を戦力として扱っている。
「ホログラム店主、こちらのドル箱をお願いします」
「分かりました」
若い店主がドル箱を持ち上げる。
「……普通に持ってる」
常連が呟いた。
「本当にホログラムなんですか?」
「不思議ですねぇ」
現在の店主は楽しそうに笑っている。
「でも、これは助かります」
「店主さん、自分で自分を働かせてますよ」
「そうですねぇ」
店主は嬉しそうだった。
「今日は二人分働けますからね!」
しばらくして、店内が少し落ち着いた。
若い店主が、ゆっくりと現在の店主のところへ戻ってくる。
そして、その顔を見る。現在の店主も、若い自分を見る。
若い店主が、にこりと笑った。
「今日は、ありがとうございました」
「こちらこそ。助かりました」
二人は向かい合ったまま、穏やかに笑う。
そして若い店主の姿が、少しずつ薄くなっていく。
「……あ」
常連が声を漏らす。
若い店主はそのまま現在の店主へ一歩近づいた。
そして――
その姿が、現在の店主の身体に重なる。
一瞬だけ、二人の姿が重なった。若い店主のにこやかな顔が、現在の店主の顔と重なり――
ふっと消えた。
店内には、いつもの店主だけが立っている。
「……」
店主はしばらく、自分の手を眺めていた。
そして、ふっと笑う。
「いやぁ……楽しかったですねぇ」
常連が笑いながら言った。
「また来てくれるといいですね」
「ええ」
店主はカウンターへ戻りながら答えた。
「来てくれたら、またお願いしましょうか」
「また働かせるんですか!」
店内に、常連の声が響く。
店主は楽しそうに笑っていた。
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