【50番外】未来遊技フェスティバル
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
未来都市の中央区。
高層ビルの間を走る空中交通路の下を、店主と従業員アンドロイドは並んで歩いていた。
二人の目の前には、街の一角を丸ごと使った巨大なイベント会場がある。
建物の外壁いっぱいに、色とりどりのホログラムが浮かんでいた。
『未来遊技フェスティバル』
『NEW MACHINE EXPO』
『次代の遊技を、ここから。』
巨大なパチンコ玉が空中を飛び交い、その後ろから光の軌跡が伸びている。
「これは……ずいぶん大きなイベントですねぇ」
店主は立ち止まり、しばらく看板を眺めていた。
「はい。未来遊技関連企業が多数参加しています。新型遊技機の展示、試遊、技術展示、関連機器の発表などが予定されています」
「なるほど」
店主は胸ポケットから、一枚の薄い板を取り出した。
ホログラムチケットだった。
指先で軽く触れると、透明な光の文字が浮かび上がる。
『INVITATION』
その下には、時環遊技場の店名が表示されていた。
「招待状なんていただくとは、ありがたいことです」
「先日のレトロ・エンターテインメント・アーカイブ出演がきっかけと思われます」
店主は少し照れたように笑った。
二人が入口へ向かう。
受付には、人間のスタッフとアンドロイドが並んでいた。
「ご来場ありがとうございます。チケットをお願いいたします」
「はい」
店主がホログラムチケットを差し出す。受付端末にかざすと、光の輪が広がった。
『時環遊技場 店主様』
その文字が空中に浮かぶ。
「あっ……」
受付のアンドロイドが、少し目を見開いた。
「時環遊技場の……!」
「ええ」
「レトロ・エンターテインメント・アーカイブに出演されていた……」
店主が丁寧に頭を下げる。
受付のアンドロイドも慌てて頭を下げた。
「どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!」
「ありがとうございます」
二人が会場内へ入る。
そこには、すでに大勢の人がいた。
一般の来場者。人間と並んで歩くアンドロイド。会話をしながら展示を眺めるロボット。未来遊技関連の企業関係者。開発者らしき人々。スーツ姿の営業担当者。そして、その中央を縫うように、案内用の小型ロボットが走り回っている。
会場のあちこちから、様々な音が聞こえてくる。
電子音。玉の音。歓声。
新型筐体から流れる派手な演出音。空中には無数のホログラムが浮かび、台の内部構造や新機能が立体的に紹介されていた。
「……ほう」
店主の目が輝く。
「これは面白そうですねぇ」
「店主」
「はい?」
「目が輝いています」
「そうですか?」
「はい」
店主は少し笑った。
そのときだった。
「失礼いたします」
後ろから声をかけられた。振り返ると、未来遊技機メーカーの社員らしき男性が立っていた。
「もしかして、時環遊技場の店主さんではありませんか?」
「はい。そうですが」
「やっぱり!」
男性の顔が明るくなる。
「以前、番組を拝見しました。あのお店、すごく興味深かったです」
「ありがとうございます」
「特に、昔の遊技機を現役で動かしているところが……」
「ありがとうございます。古い台には古い台の良さがありますからねぇ」
店主が穏やかに答える。
「よろしければ、こちらを」
男性が手を差し出す。その手のひらから、小さな光が浮かび上がった。
名刺だった。
透明な板のようなホログラムに、会社名、部署名、名前、連絡先などが立体的に表示されている。
「まあ、これはご丁寧に」
指先で軽く空中をなぞる。すると、店主の手元にも淡い光が浮かび上がった。
『時環遊技場』
『店主』
『郊外第9区』
簡素ながら、どこか昔の名刺を思わせるデザインだった。
「ありがとうございます」
二人が名刺を近づける。
ホログラム同士が触れると、ピッと小さな音が鳴った。
『CONTACT EXCHANGED』
「では、また後ほど」
「はい。ぜひ展示も拝見させていただきます」
男性が去っていく。
店主は自分の名刺を一度眺めると、ふっと笑った。
「便利なものですねぇ」
「名刺を紙でお渡しする必要がありませんからね」
「ええ。でも、こうして直接お会いして交換するところは変わりませんね」
「確かにそうですね」
その後も、店主のもとには次々と未来遊技関連企業の人々が声をかけてきた。
「時環遊技場の方ですよね?」
「はい」
「レトロ・エンターテインメント・アーカイブを拝見しました。とても面白かったです」
「ありがとうございます」
「うちの開発チームでも話題になっていたんですよ」
「それはありがたいですねぇ」
「少しだけお時間よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん」
気がつけば、店主の周囲には人が集まり始めていた。
そして、ようやく人の波を抜けた先に、巨大な筐体が現れた。
従来のパチンコ台より一回り大きい。
透明な盤面の中では、玉が宙に浮かんでいる。
釘も風車も役物も、すべてが立体映像として再現されていた。
「……これは」
店主が近づく。台の前に立った瞬間、盤面の中に光が走った。
『PLAYER DETECTED』
玉が一斉に動き始める。風車が回る。役物が展開する。そして盤面そのものが、まるで一つの小さな遊技場のように変化していく。
「すごいですねぇ……」
店主は目を細めた。
開発担当者が嬉しそうに答える。
「はい。物理的な部品を使わず、すべてを空間上に構築できます」
「なるほど」
店主は盤面をじっと見る。
「では、風車の回転抵抗も演算で変えられる?」
「もちろんです」
「釘の角度も?」
「リアルタイムで変更できます」
「ほう……」
店主の顔が、ますます楽しそうになる。
「それでは、試遊をどうぞ」
店主が台の前に立つ。玉が盤面へ次々と送り出された。
玉は風車に弾かれ、釘の間を抜け、さらに奥へ進んでいく。
やがて玉が役物へ入り、派手な演出が始まった。
「おお……!」
店主の顔が、ぱっと明るくなる。
「店主、楽しそうですね」
「ええ。これは楽しいです」
店主は笑った。
「昔の台も面白いですし、こういう未来の台も面白い。遊技機というのは、まだまだいろんなことができるんですねぇ」
その言葉を聞いた開発担当者が、嬉しそうに頷いた。
試打を終えたあとも、店主はすぐには帰らなかった。別の企業から新型の玉循環システムを紹介され、さらに別の担当者からは、アンドロイドやロボット向けの操作補助装置について説明を受ける。
「時環遊技場にも、ロボットのお客さんはいらっしゃいますからねぇ」
「そうなんですか?」
「ええ。皆さん、それぞれ楽しみ方が違って面白いですよ」
今度は店主からも、昔の羽根モノや一発台について話す。
玉の動き、役物に入る瞬間の期待感、台を囲んでお客さん同士が盛り上がること。
「今の遊技機とは、また違う面白さがありますね」
「ええ。でも、今の台には今の台の面白さがあります」
店主は会場を見渡した。
「今日、いろいろ見せていただいて、それがよく分かりました」
午後になると、店主は遊技機だけでなく、店舗用の照明や音響、メンテナンスシステムなどの展示にも足を止めた。
「遊技場には、台の音だけではなく、人の声や玉の音もありますから」
店主はそう話した。
「全部が混ざって、その店らしい音になるんですよ」
「なるほど……」
担当者は感心したように頷いた。
気がつけば、空は夕暮れ。
「店主。本日の予定時間を大幅に超過しています」
「そうですか」
店主は名残惜しそうに会場を振り返った。
「いやぁ……一日では足りませんでしたねぇ」
「はい」
「新しい台もたくさん見られましたし、いろいろな方とお話もできました」
出口へ向かいながら、店主は楽しそうに笑った。
「いい一日でした」
未来都市の中央で開かれた、新しい遊技の祭典。時環遊技場の店主は、新しいものに触れた一日を胸に、従業員アンドロイドとともに郊外第9区へ帰っていった。