黒曜石の檻 [3]

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/23 📚 シリーズ: 『 カフェ・ド・レクリプス 』(Café de l'Éclipse) 📝 649文字 ✅ 全年齢

あらすじ

<p><strong> ヴァイオレット</strong></p><p>  「いいのね、ルベウス。私はあなたを, この世界の終わりごと連れて行くわよ」</p><p>世界の終わりを告げる赤い光が、ルベウスの美しい顔を仄白く照らし出した。</p>

本文

 ヴァイオレット

  「いいのね、ルベウス。私はあなたを, この世界の終わりごと連れて行くわよ」

世界の終わりを告げる赤い光が、ルベウスの美しい顔を仄白く照らし出した。

私は彼の手首を掴んだまま、狂おしい衝動に突き動かされてその胸へと身体を寄せた。 硝石の匂いに混ざって、彼の温かい肌の匂いが鼻腔を甘くくすぐる。

私を見つめる彼の瞳に、激しい動揺が走るのが分かった。 私は彼と対立する立場であり、お互いを破滅させるためだけに牙を剥いてきたはずだ。

それなのに、彼が私なしでは生きていけないという歪んだ事実に、私は気づきたくなかった。

彼が私を必要とするように、私もまた、彼という光を狂おしいほどに求めている。

 ――ああ、もう、どうにかなってしまいそうだ。 敵のままで死んでやるという誇りなんて、彼の体温に触れた瞬間に溶けて消えた。

本当は拒絶したくて掴んだはずの手首を、いまや強く、縋るように握りしめている。 離したくない。 この男を誰にも渡したくない。

世界を滅ぼした私の最後の我が儘として、この英雄の心も、魂も、その存在のすべてを私だけのものにしたい。 惹かれ合う心を否定するはずの言い訳は、彼の唇が重なった瞬間に、甘い吐息となってすべて吹き飛んだ。

 最初で、最後の口づけ。 互いの呼吸を奪い合うように。彼の熱い唇から伝わる確かな拍動が、私の身体を深く満たしていく。 これなら、世界と一緒に地獄へ落ちても構わないと、本気で思った。

  「――これで、あなたは一生私を忘れられない。呪いとして、その胸に刻みなさい」

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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