黒曜石の檻 [3]
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p><strong> ヴァイオレット</strong></p><p> 「いいのね、ルベウス。私はあなたを, この世界の終わりごと連れて行くわよ」</p><p>世界の終わりを告げる赤い光が、ルベウスの美しい顔を仄白く照らし出した。</p>
本文
ヴァイオレット
「いいのね、ルベウス。私はあなたを, この世界の終わりごと連れて行くわよ」
世界の終わりを告げる赤い光が、ルベウスの美しい顔を仄白く照らし出した。
私は彼の手首を掴んだまま、狂おしい衝動に突き動かされてその胸へと身体を寄せた。 硝石の匂いに混ざって、彼の温かい肌の匂いが鼻腔を甘くくすぐる。
私を見つめる彼の瞳に、激しい動揺が走るのが分かった。 私は彼と対立する立場であり、お互いを破滅させるためだけに牙を剥いてきたはずだ。
それなのに、彼が私なしでは生きていけないという歪んだ事実に、私は気づきたくなかった。
彼が私を必要とするように、私もまた、彼という光を狂おしいほどに求めている。
――ああ、もう、どうにかなってしまいそうだ。 敵のままで死んでやるという誇りなんて、彼の体温に触れた瞬間に溶けて消えた。
本当は拒絶したくて掴んだはずの手首を、いまや強く、縋るように握りしめている。 離したくない。 この男を誰にも渡したくない。
世界を滅ぼした私の最後の我が儘として、この英雄の心も、魂も、その存在のすべてを私だけのものにしたい。 惹かれ合う心を否定するはずの言い訳は、彼の唇が重なった瞬間に、甘い吐息となってすべて吹き飛んだ。
最初で、最後の口づけ。 互いの呼吸を奪い合うように。彼の熱い唇から伝わる確かな拍動が、私の身体を深く満たしていく。 これなら、世界と一緒に地獄へ落ちても構わないと、本気で思った。
「――これで、あなたは一生私を忘れられない。呪いとして、その胸に刻みなさい」
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。