黒曜石の檻 [7]
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p><strong> ヴァイオレット</strong></p><p>灰色の無機質な世界で、私のヒーローが絶望に膝を突き、咽び泣いている。</p><p>その姿を、私は深い闇の底から見つめていた。ルベウス。 あなたが今見ている偽りの未来は、私があなたの精神にかけた最後の呪い。</p>
本文
ヴァイオレット
灰色の無機質な世界で、私のヒーローが絶望に膝を突き、咽び泣いている。
その姿を、私は深い闇の底から見つめていた。ルベウス。 あなたが今見ている偽りの未来は、私があなたの精神にかけた最後の呪い。
そしてあなたは、二度と手に入らない私を追い求めるあまり、ついに自ら破滅の引き金を引いた。 現実のあなたが、私の遺した結晶を掴み、狂おしい歓喜を浮かべて自らの肉体へと深く突き立てる姿が、闇の向こうにはっきりと見えた。
結晶が吸い上げる彼の血が、紫色の煙となってその赤い髪を染めていく。彼が苦痛と快楽に顔を歪め、私の名前を何度も呼ぶたび、私の胸の奥もまた、千切れるほどにギュッと締め付けられた。
本当に愚かで、愛おしくて、私なしでは一歩も歩めない私のヒーロー。
私はあなたの綺麗な魂を、退屈で平穏な現実の未来になんて、絶対に引き渡してあげない。 誰も立ち入れない、私たちが作り出した狂気と気高き絶望の檻――二人だけの閉じた夢の中で、永遠に私だけを呪って生きればいいのよ。
ゆっくりと五感を失い、現実の肉体を捨ててこちらの精神世界へと堕ちてくる彼の頬を、私は幻影の手で優しく撫でた。
「――ええ、それでいいわ、ルベウス。その従順な魂を、私にちょうだい」 私の冷たい指先が彼の涙を拭うと、彼を縛っていた灰色の街並みは、ガラス細工のように跡形もなく崩れ去っていく。
偽りの風景が剥がれ落ちた暗闇の向こう。
漆黒の茨に囲まれた玉座の上で、私は最高に美しくドレスを翻し、彼を迎え入れた。
「ようこそ、私たちの美しい地獄へ。もう二度と、ここから逃がしてあげないから」
ーー ℱ𝒾𝓃 ーー
作品統計
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