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【52番外】 生成A.Iはパチンコを知らない

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/24 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 3,057文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

その日の営業を終えた時環遊技場では、店主がカウンターの奥でホログラム端末を眺めていた。

閉店後の店内には、昼間まで聞こえていた玉の音もなく、蛍の光だけが静かに流れている。五匹のホログラムメダカも、いつものように水槽へ戻っていた。

端末には、最近話題になっている生成A Iの広告が表示されていた。一枚の写真を読み込ませるだけで、その風景を別の世界へ変えられるらしい。

普通の街並みが未来都市になったり、建物が水中都市になったり。元の写真を残しながら、まったく違う雰囲気の画像を作っている。

「写真一枚から、別の世界……ですか」

店主は興味深そうに画面を眺めた。

「最近の生成A Iというものは、いろいろなものを作れるそうですねぇ」

古い遊技台を大切にしている店主だが、新しい機械や技術を見るのも嫌いではない。

むしろ、面白そうなものを見つけると、つい試してみたくなる性分だった。

「こういうものは、実際に触ってみるのが一番ですね」

店主はそう呟き、端末を操作した。

店内を一枚。カウンターから遊技台の並ぶフロアを撮影する。古い遊技台が並び、壁には昔のポスター。蛍光灯の白い光が盤面を照らしている。いつもの時環遊技場らしい風景だった。

店主は、その写真を生成A Iに読み込ませた。

「少しだけ、違った雰囲気にしてみましょうか」

しばらくして、画像が完成した。

「おや」

店主が画面を覗き込む。一見すると、いつもの時環遊技場だった。

しかし、よく見ると妙だった。遊技台の盤面を埋め尽くすように、釘がびっしり並んでいる台がある。別の台は、金色や虹色の装飾で派手派手になっていた。役物が、まるで熱で溶けたようにぐにゃりと垂れ下がっている台もある。

ハンドルがない台もあった。文字もおかしい。

「CRスタ一ダスト……」

店主が読み上げる。

「これは『ー』ではなく、『一』ですね」

さらに別の台には、見たことのないような文字が並んでいた。

「なるほど。文字は少し苦手なのですね」

店主は楽しそうに画像を眺めた。

釘の多すぎる台。役物の大きすぎる台。虹色に輝く台。玉の通り道が迷路のようになっている台。なぜかハンドルが二つ付いている台。

どれもパチンコ台らしいような、そうでもないような、不思議な姿をしている。

「面白いですねぇ」

店主は画像を保存した。

そして、いつものように一日の終わりを迎えた。

――翌朝。

開店準備のため、店主が店内へ入る。

照明をつけ、カウンターを整え、いつものように遊技台を見回っていく。そして、181番の前で足を止めた。

「……あら?」

わんぱく大将の盤面に、羽根が三枚ある。店主は端末を取り出し、昨夜の画像を表示した。

そこにも、羽根が三枚。

「……同じですね」

次に186番。天下一番の役物が、ぐにゃりと溶けたような形になっている。

「こちらも」

さらにその隣。釘で覆い尽くされた台。

「これは……ずいぶん増えました」

店主は別の台へ移動する。金色、虹色、銀色の装飾がこれでもかというほど付いた、派手派手の台。その液晶には、なぜか『左打ち』と表示されている。

「そこは普通なんですねぇ」

店主は少し笑った。

さらに見ていくと、ハンドルのない台。ハンドルが二つある台。玉の通り道が迷路のようになった台。文字が微妙に違っている台。昨日生成された画像と、どれも同じだった。

店主はしばらく店内を見渡した。

「どうやら……昨日の画像が、そのままになってしまったようですね」

驚いてはいる。けれど、どこか面白そうでもある。

店主は念のため、それぞれの台が動作することを確認した。

電源は入る。玉も流れる。液晶も点く。ただし、見た目がおかしい。

「……営業は、できそうですね」

そう言って、店主は開店準備を続けた。

そして、開店時間。

いつものように常連たちがやってくる。

最初に異変に気づいたのは、181番のわんぱく大将に座ろうとした常連だった。

「……ん?」

盤面を見る。

「…………」

もう一度見る。

「なんだ、これ?」

そこへ常連アンドロイドがやってくる。

「どうしました?」

「いや……羽根、三枚じゃないか?」

「……三枚ですね」

「昨日、二枚だったよな?」

「昨日の記録では二枚です」

「だよな……」

別の常連が釘びっしりの台を見つけた。

「おい! こっちも変だぞ!」

みんなが集まる。

「なんだこの釘!」

盤面のほとんどが釘で覆われている。

「こんなに釘を打ったら、玉の通る場所がないだろ!」

試しに玉を打ってみる。玉は釘に当たり、跳ねる。また別の釘に当たる。右へ行ったと思ったら左へ戻り、上へ飛んだと思ったら中央へ落ちてくる。

「玉が変な方向に行くぞ!」

「どこへ行くんだ、この玉!」

「めちゃくちゃだ!」

その横では、別の常連が声を上げた。

「こっちもすごいぞ!」

全員が振り向く。

そこにあったのは、盤面全体が金色、虹色、銀色に輝く派手派手の台だった。

「何だこの台!」

「派手すぎる!」

「眩しい!」

「これ、何の台なんだよ!」

さらに、その隣の台を見た常連が固まった。

「……これ、溶けてない?」

役物が、上から下へぐにゃりと垂れ下がっている。

「溶けてる!」

「役物が溶けてるぞ!」

常連アンドロイドがスキャンする。

「役物の形状を認識できません」

「認識できないってどういうことだよ!」

「既存の遊技台データとの一致率が低すぎます」

「じゃあ何なんだよ、これ!」

さらに別の台では。

「ハンドルは?」

「……ない」

「本当に?」

「ない」

右下を何度見ても、ハンドルがない。代わりに小さな丸い突起が三つ並んでいる。

「これ、どうやって打つんだ?」

「知らないよ!」

その向こうではロボットが、ハンドルが二つ付いた台を見つけた。

「これは両手で操作するタイプでしょうか」

「そんなパチンコあるか!」

と、店内はすっかり大騒ぎになっていた。

そこへ店主がやってくる。

「皆さん、おはようございます」

店主に気がついた常連客は次々にこう言った。

「店主さん!ちょっと来てください!」

「台がおかしい!」

「釘がめちゃくちゃです!」

「役物が溶けてます!」

「ハンドルがありません!」

「こっちは二つあります!」

店主は端末を取り出した。

「実は昨夜、生成A Iで店内の画像を作りまして」

画像を表示する。

常連たちが覗き込む。そこには、今日の時環遊技場がそのまま写っていた。

釘びっしりの台。派手派手の台。溶けた役物。ハンドルのない台。二つあるハンドル。

そして、おかしな文字。

「…………」

「これ……今日の台じゃないですか」

「ええ」

店主は頷いた。

「まさか、その画像のほうが現実になるとは思いませんでした」

「そこですか!?」

常連が頭を抱える。

常連アンドロイドは、もう一度店内を見回した。

「ということは、本日は生成A Iによって作られた遊技台で営業することになるのでしょうか」

「そのようですねぇ」

店主は、釘でびっしり覆われた台を見る。玉が、また予想外の方向へ跳ねていく。

「せっかくですから、今日一日くらいは様子を見てみましょうか」

「店主さん、ずいぶん落ち着いてますね……」

「私も、少し興味がありますので」

店主はそう言って、楽しそうに店内を眺めた。

その日、時環遊技場には、いつもとは違う玉の音が響いていた。

そして翌朝。

遊技台は、すべて元に戻っていた。

釘も。役物も。ハンドルも。文字も。何もかも、いつもの時環遊技場だった。

店主はほっと胸を撫で下ろす。

「よかったですねぇ」

そう言って、昨夜の生成画像をもう一度眺める。すると端末に、小さな表示が出た。

「この画像をもとに、もう一枚生成しますか?」

店主は少し考えた。

「……もう一枚くらいなら」

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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