【53番外】夢の中のパチンコ玉はやわらかい
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
その日、時環遊技場には、いつもの常連ロボットが来ていた。
遊技を終えたロボットがカウンターへ戻ってくると、店主に声をかける。
「店主さん、昨日さ、変な夢を見たんだよ」
「ほう。どんな夢です?」
「パチンコしてた」
「それは……いつもとあまり変わりませんねぇ」
店主が穏やかに笑う。
「それがさ、玉が全部ゼリーだったんだ」
「ゼリー?」
「そう。透明で、ぷるぷるしててさ。打つと普通の玉みたいに飛んでいくんだけど、ぶつかるたびに、ぷるんって跳ねるんだ」
ロボットは両手を使って、その様子を再現した。
「しかも大当たりすると、玉が全部プリンになるんだ」
「それはまた……ずいぶん美味しそうな遊技台ですねぇ」
「だろ?」
二人が笑っていると、カウンターの片隅に置かれた小さな透明なアクリル容器から、何かがふよんと浮かび上がった。
オイタマちゃんだった。
水のような身体をふわふわ揺らしながら、店主のほうへ近づいてくる。
その中のオイルの球が、キョロ、と動いた。
「おや。オイタマちゃんも聞いていたのですか」
店主が指先を近づけると、オイタマちゃんがぷにっと触れる。
「この子がオイタマちゃん?」
ロボットが身を乗り出す。
「ええ。以前お話ししたでしょう」
「この子もパチンコ玉で遊ぶんだよね」
「ええ」
その言葉を聞いたように、オイタマちゃんはふよんと容器へ戻ると、中にある二つの小さなオイル玉をころんと転がした。
風車がくるりと回る。
「ほら」
ロボットが笑う。
「こいつも玉が好きなんだ」
オイタマちゃんの中のオイル玉が、キョロ、とロボットを見る。そのときだった。
店の入口から、従業員アンドロイドが入ってきた。
「店主、荷物が届いています」
「荷物ですか?」
「以前のデータフード会社からです」
店主が箱を受け取る。
「また新商品でしょうか」
カウンターへ戻り、箱を開ける。
中には、透明なケースが一つ入っていた。
ラベルには、『新商品試作・データ玉』と書かれている。
店主がケースを開ける。中に並んでいたのは――透明で、少しだけ柔らかそうな玉だった。
ロボットが固まる。
「…………」
店主も固まる。
「…………」
二人でケースを見る。
「店主さん」
「はい」
「これ……」
ロボットが一つを指差した。
「俺が昨日、夢で見たやつじゃない?」
店主は玉を一つ取り出し、指先で軽く押してみる。
ぷるん。
「……これは」
従業員アンドロイドが説明書を読む。
「食感再現型データフードです。今回はゼリーをテーマに、弾性と重量感を設定した試作品とのことです」
「正夢だ!」
ロボットが叫んだ。
「正夢ですねぇ」
店主も思わず笑う。
その声に反応したのか、カウンターのオイタマちゃんがふよんと近づいてきた。
水の身体がデータ玉のケースの前で止まる。
中のオイル玉が、キョロキョロと左右を見る。そして、ケースの中のデータ玉をじっと見つめた。
「おや?」
店主が気づく。
オイタマちゃんが、データ玉へ向かってゆっくり近づいていく。ぷにっと、透明な身体がケースに触れる。
すると中のデータ玉が、ほんの少しだけぷるんと揺れた。オイタマちゃんのオイル玉は、そのケースをじっと見つめている。
「気になるようですね」
店主がケースからデータ玉を一つ取り出し、カウンターへ置く。
転がったデータ玉を、オイタマちゃんが追いかける。
オイタマちゃんはデータ玉に身体をくっつけると、まるで自分の仲間を見つけたように、ぷるぷると身体を揺らした。
ロボットが笑う。
「ぷるぷる仲間だ」
「そうですねぇ」
店主も楽しそうに頷く。
そこへ、オイタマちゃんの身体から小さな手がにゅっと伸びた。
「おや?」
ぽんっと、データ玉を一つ、軽く弾く。ぷるん、と玉が転がる。オイタマちゃんが追いかける。
「完全に遊んでますね」
「こいつ、夢の玉を気に入ったんじゃない?」
「かもしれませんねぇ」
しばらくすると、オイタマちゃんはデータ玉を二つ抱えた。
いつものように小さな手を伸ばし、二つの玉をお手玉のように投げ始める。
「おお!」
ロボットが目を輝かせる。
「ゼリー玉のお手玉だ!」
オイタマちゃんは夢中になっている。
右の手から左へ。左から右へ。その様子を眺めながら、店主がふと思い出したように尋ねた。
「そういえば、夢の中ではどうだったんです?」
「何が?」
「大当たりすると、プリンになると言っていましたよね」
「ああ!」
ロボットがデータ玉を見つめる。
「これもプリンになったりして」
店主が説明書を確認する。
「……その機能は、ないようですねぇ」
「そっかぁ」
ロボットが少し残念そうにする。
その横で、オイタマちゃんが二つのデータ玉を、ぽんぽんと投げ続けている。
やがて店主が笑った。
「でも、夢が一つ現実になったのですから、十分面白いではありませんか」
「そうだね」
ロボットも笑う。
オイタマちゃんが二つのデータ玉を高く放り上げる。そして、そのうちの一つがオイタマちゃんの身体に落ちる。
ぷにっ。
「……」
オイル玉が、キョロ。と動いた。
店主が思わず吹き出す。
「おやおや。少し欲張りすぎましたね」
オイタマちゃんは何事もなかったように身体を丸くすると、また二つの玉を小さな手で抱えた。
その姿を見たロボットが、ぽつりと言った。
「……今日、寝たらまた夢に出てきそう」
「今度は何でしょうねぇ」
「巨大なゼリー玉とか」
「それは少し大変そうですね」
店主が笑う。
そのすぐ横では、小さなぷるぷるコンビが、仲良く遊び続けていた。
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