決めることができないの表紙画像

決めることができない

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/26 📚 シリーズ: イケメンにも恋の病は必要だよね! 📝 1,831文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

大学2年生の橘ひなたは、ごく普通の女子大生。ある日、学校一のイケメンと噂される林武蓮と同じゼミになったことで、自然と彼を意識するようになる。 しかし蓮は恋愛に全く興味がなく、女の子から告白されても断り続けるクールな男。ひなたが話しかけても素っ気ない態度ばかり。 それでも一緒にいる時間が増えるうちに、ひなたは彼の不器用な優しさに少しずつ惹かれていく。 恋愛に無関心なイケメンが、初めて「恋の病」にかかるまでのドキドキラブコメ!

本文

九月の初め、母親から電話が来た。

林武はスマートフォンの画面に表示された「母」の文字を見て、少し間を置いてから通話ボタンを押した。

「武、久しぶり。元気にしてる?」

「……ああ」

「連絡くれないから心配してたの。ちゃんとご飯食べてる?」

「……食べてる」

「そう。あのね、武。そろそろ地元に帰ってきなさい」

林武は少し黙った。

「……なぜ」

「なぜって、就職活動のことも相談したいし、お父さんも顔見たがってるし。それに、一人暮らしが長くなると生活が乱れるから、たまには帰ってきなさい」

「……生活は乱れていない」

「そう言っても、お母さんには確認できないでしょ。とにかく、今月中に帰ってきなさい。日程は自分で決めていいから」

有無を言わさない口調だった。いつも通りだった。

「……わかった」

「じゃあ、決まったら連絡して。お父さんにも伝えておくから」

通話が終わった。

林武はスマートフォんを置いて、天井を見つめた。

地元に帰れ。それは、珍しい話ではなかった。春休みにも言われていたし、今まで何度か帰省していた。帰ること自体は、そこまで嫌ではなかった。

でも今日は、少し違う感覚があった。

……ひなたに、会えなくなる。

帰省している間は、ひなたとは会えない。メッセージのやり取りはできる。でも、直接会うことはできない。

それが、思ったより嫌だと感じていた。

林武は起き上がって、窓の外を見た。九月になっても、まだ夏の名残があった。空は青くて、雲が少し流れていた。

好きだと認めてから、数日が経っていた。認めたところで、何かが変わったわけではなかった。ひなたへの態度も、関係も、特に変わっていない。でも、自分の中では確実に何かが変わっていた。

ひなたのことを考える時間が、さらに増えた。メッセージが来るたびに、思ったより早く返信している自分がいる。ひなたの顔が、何かにつけて頭に浮かんでくる。

それが今、帰省の話を聞いて、会えなくなると思った瞬間に、嫌だという感情が出てきた。

……こんな感情が、自分にあったのか。

誰かに会えなくなることを、嫌だと思ったことは今まであまりなかった。一人でいることが気楽だと思っていたから。でも今は違った。

林武はカレンダーを見た。今月中に帰れと言われた。日程は自分で決めていい。

少し考えてから、林武はスマートフォんを手に取った。ひなたとのトーク画面を開いた。

何かを送ろうとして、止まった。

何を送るつもりだ。帰省することを伝えるのか。それとも、その前に会いたいと言うのか。

会いたい。

その言葉が、頭の中で浮かんだ瞬間、林武は少し驚いた。会いたい、と思っている。誰かに対してそう思ったのは、初めてだった気がした。

でも、それをそのまま送る勇気は、まだなかった。

林武はスマートフォんを置いた。

母親のことを、考えた。

帰省すれば、また同じ空気の中に戻る。就職のこと、将来のこと、細かいことを色々と言われる。父親は黙って頷く。いつも通りの実家の光景だ。

それが、以前は当たり前だと思っていた。でも今は、少し違う目で見えていた。

ひなたが言っていた言葉を思い出した。

「林武くん、真面目すぎるんだよ」

「大丈夫じゃないくせに、大丈夫だと言い切る、その不器用さ」

「いつかちゃんと話せる気になったら、聞くから」

一つひとつが、鮮明に思い出せた。ひなたはいつも、余計なことを言わない。でも、必要なことは、ちゃんと言ってくれた。

……ひなたがいると、あの恐れが遠くなる。

それは確かだった。母親を見て育って、深く関わることへの恐れが生まれた。でも、ひなたといる時は、その恐れが薄くなった。ひなたが変わらずそこにいてくれることが、何かを和らげてくれていた。

だから、帰省している間、ひなたに会えないことが嫌なのかもしれなかった。あの感覚が、遠くなるから。

林武はもう一度、スマートフォんを手に取った。

今月中に帰省する。それは決めた。でも、その前に——。

結局、何も送れなかった。

画面を閉じて、林武はため息をついた。

好きだと認めた。会いたいと思っている。でも、それをどう言葉にすればいいのか、まだわからなかった。

踏み込むことへの恐れは、消えていない。好きだと認めても、その恐れはまだそこにあった。

でも、以前と違うのは——恐れがあっても、ひなたのことが頭から離れないことだった。

どんなに蓋をしようとしても、もう遅かった。

林武は窓の外を見た。空がだんだんオレンジ色に変わり始めていた。

帰省する前に、一度だけ会おう。

それだけを、静かに決めた。

ジャンル・タグ

,

作品統計

👁️ 閲覧数: 1 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

たかの岳

毎日1話投稿! AI連載作品をたくさん出したいなと思います!

👥 フォロワー: 2人

作者ページを見る