第16.2話 思惑通りにはいかない、絶対に!
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あらすじ
ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜 - 第16.2話 思惑通りにはいかない、絶対に!
本文
ワランは拳を握りしめ、
「…すいません、今日は……」
と言うと席を立つ。
ミリンがすぐに悲しげな表情を作って周囲を見回した。
「眷属がいなくなる哀痛切なる想い、深く拝察いたします。皆様、ワラン様の退席の許可、いかがでしょう?」
皆が厳かに頷き、ワランは挨拶をして円卓を去る。
残された円卓で、クインがおもむろに人差し指を魔神ミリンに向けた。
ミリンは小首を傾げる。
「私は知らなかったのか、という事でしょうか。」
クインは頷く。
「ヨルング・ティナ・プルカの調査、対応は全てワラン様に一任しておりましたので、残念ながら。もしご相談頂ければ、お助けできたかもしれませんのに…」
そう言って悲しい顔を見せるミリンを、戦神ガルドアは少し訝しげな顔で見つめていた。
「ともあれ、ジュクールパは続いております。この件は後ほど対応するとして、今は子ども達の未来をよりよくするために力を尽くしましょう!」
ミリンの言葉通り、ワラン抜きでジュクールパは進んで行った。
3日目のジュクールパも終わり、神々も各神殿に戻った。
ミリンも自身の神殿に戻ると、豪奢な椅子に座る。
そして、満面の笑みを浮かべた。
アルチャが死んだわ!!
心中で歓喜の声を上げる。
奈落の森に再転移させてから、この瞬間をどんなに待ちわびた事か!
なかなか死なないので少し肝を冷やしましたが…
「お茶をお願い。」
「かしこまりました。」
従者はうやうやしくお茶を淹れ始める。
念のため、もう一度先ほどの魔力を感知してみましょうか。
ミリンは魔力の痕跡を追った。が、全く感じられない。
-------これは完全に死にましたわね!
「ふふふ!」
「機嫌が良さそうですね」
従者がお茶を淹れながら声をかける。
「ええ、今日もとてもとても、いい事があったわ」
ミリンは極上の笑みでお茶を口に運ぶ。
もし、アルチャの魂がここにきたら、あんなザコスキルで良く今まで生きられましたね、と褒めてあげましょう。
そして、汚いスキルを使った汚い魂を、一瞬で消滅させてあげる。
ミリンは美しく、残酷に微笑んだ。
一方、ワランは悲痛な思いで空の神殿にいた。
「すいません、永灯さん…」
と何度も呟きながら、助けられなかったという自責の念で押しつぶされそうになっていた。
それは、以前にも感じたあの感覚。
ふと1人の女性の顔が脳裏をよぎる。
「私は、また……」
頭を抱える。
自分の力の無さに。
せめて、永灯さんの魂だけは救わなければ…。
そう思った時だった。
「はっ!?」
ワランは目を見開く。
間違いない、加護の反応がある!
今、私が加護を与えているのは、永灯さん一人だけだ!
「でも、どうして!?」
どう考えてもあれは魔力の四散、亡くなった時の反応だった。
今も魔力を一切感じる事が出来ないのに!
ワランが激しくうろたえていると、神殿の空間に声が響いた。
『ワラン様』
「!?」
ここはアルチェリンガ。神が座す領域。
ここに入れるのは、私達が許可したものだけのはず。
それなのに、今まで聞いた事の無い声が私に話しかけるなど!
とっさに身構えるワラン。
「誰です、私に話しかけるのは!?」
『ご無礼をお許し下さい。私は解析・鑑定です』
「!!」
ワランは心底驚いた。
解析・鑑定はワラン自身が創った『スキル』だ。
そのスキルが、なぜか自立して話している!?
「どういう事です!?」
ワランは混乱を隠せない。
『私はマスターの願いを叶えるため、進化したようなのです』
「!!」
確かにスキルは進化する素養はあるが、まさか『意思』を持つとは……
『これが本当に私意思なのかは、生まれたばかりの私にもわかりません。ただ、マスターのためにと』
本当にこんな事があるのだろうか…。神である私でもここまでの事は予測lできなかった…。
驚き続けているワランに、声はさらに続けた。
『マスターは私に名前を付けて下さいました。私の名はアカシャ』
「アカシャ……アカシャ、か」
ワランは少し考えると、優しく微笑んだ。
「いい名前じゃないか」
『はい』
「なら、アカシャ、確認したい事があるんだけどいいかな?」
『なんなりと』
ワランは、今気になっている事を尋ねた。
『私が今わかる範囲ですが』
アカシャはそう前置きし、質問に答え始めた。
それを聞くワランの顔は、再度驚きに満ち、そしてやはりそうか、という納得の表情へと変わっていった。
「ありがとう、アカシャ。これからも永灯さんを頼みます」
『かしこまりました』
その言葉を最後に、アカシャの気配は綺麗に消え去った。
もの凄く疲れたような表情をして、椅子にうなだれながら座るワラン。
しかし同時に、尋常ではない嬉しさ、胸の高鳴り、期待、あらゆるポジティブな感情が内側から湧き上がってくるのを感じていた。
こんな人間のような激しい感情が、私にも湧き上がってくるなんて…。
「永灯さん、あなたって人は…とんでもない事をしてくれましたね!」
歓喜で体が震える、その顔は喜びで溢れていた。
だが同時に、すぐに思考を冷徹に切り替える。
ミリンに知られてはならない。絶対にだ。
ワランの目に力強い光が戻る。
このまま、永灯さんが死んだ事で疲弊した哀れな神を演じきる。
永灯さんがあの森を無事に出るまで、そして、永灯さんに会うその時まで!
「ミリン、あなたの思惑通りにはいかない、絶対に!」
ワランは力強く立ち上がった。
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