021、エレシィの交流
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
第6次世界と対をなす第4次世界「ストラチア」。 この地で繰り広げられるヒューマンドラマを中心に描いていきます。
本文
フェルナンドは頭を抱えていた。
リシャビエルの報告を受けて森林の開拓がかなりの危険を伴うこと、食糧確保がままならないことが判明したからだ。
フェルナンド「どうしたものか……。このままでは皆餓え死にしてしまう……」
リシャビエル「申し訳ありません。私がもっと安全な手段を提案すべきでした」
フェルナンド「お主のせいではない。だが、どうする?」
リシャビエル「現在斥候を放ちながら、動物を見かけたら即撤退しつつ、採取を中心に行っています」
フェルナンド「せめて穀物があればもう少しやりようがあるのだが……」
兵士「報告します。先ほど、斥候から、人がこちらに向かっている、という情報が入ってきました」
フェルナンド「どう見る?」
リシャビエル「難民か目的を持ってるかで変わりますね。難民でしたら受け入れるべきかと」
フェルナンド「そうだな。盗賊の危険性を考慮して警戒しつつ相手の出方をうかがう。エスパルが指揮をとれ」
エスパル「はっ!」
エスパル・バロワ。リシャビエル直属の兵士で、兵からの信頼が厚いベテランである。
エスパルは数人の兵を引き連れて森へ入っていった。
エレシィ「あら? 誰かこちらに来るわね?」
メンベレ「エレシィさん、どうしますか?」
エレシィ「交流目的だから友好的に接するわよ。早まった真似はしないようにね?」
メンベレ「分かりました」
エスパル「止まれ!」
エレシィ「ご安心ください。盗賊ではありませんよ」
エスパル「こちらに来た目的は何だ?」
エレシィ「私はエレシィ。皆さんと交流するために南東からやってきました」
エスパル「南東にも人々はいるのか。しかし、その出で立ち。そなたらは悪魔の類か?」
エレシィ「悪魔ではあるわね。私は魔族と呼んでいるけど」
エスパル「悪魔がなぜ我々と交流しようとする?」
エレシィ「まずは何か助けにならないか、と思っています。その後交流し共に助け合えれば、と存じます」
エスパルはエレシィをじっと見る。
エレシィはそれを柔らかい笑顔で見つめ返す。
エスパル「……一人王に報告に行け」
兵士「はっ!」
エスパル「しばし待たれよ」
エレシィ「分かりました」
兵士「陛下! エスパル殿のもとから報告に上がりました!」
フェルナンド「申せ」
兵士「こちらに近づく者の正体は悪魔二人。こちらとの交流を目的にしています。また、助力を申し出ています」
フェルナンド「リシャビエル、どう見る?」
リシャビエル「悪魔というのが気になりますが、今は藁にもすがりたい気持ちです。会ってみるのもありかと」
フェルナンド「……お主」
兵士「はっ!」
フェルナンド「エスパルに、謁見を許可する旨を伝えて参れ」
兵士「かしこまりました!」
フェルナンド「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
リシャビエル「交渉の余地があると良いですね」
フェルナンド「だな」
兵士「エスパル殿! 先ほどの者が戻ってきました!」
エスパル「報告を」
兵士「はっ! 陛下が、謁見を許可する、と」
エスパル「分かった。エレシィ殿。共に参られよ」
エレシィ「ありがとうございます」
メンベレ「道中危険なことがあれば皆様も含めて私が守りましょう」
エスパル「分かった」
後書き
エレシィは自分の魔術なら容易く助ける事が出来る、と判断しています。
自分の能力は時空のゆがみがあるこの地では、最高峰の魔術になるだろう、と。
一方フェルナンド達は、魔族を悪魔と一括りにしつつ、悪魔にも縋らなくては生きていけない、と判断し様子を窺っています。
エレシィの能力に直面したらどんな反応をするでしょうね?
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