作者なのに、次の展開を知らない
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
AIに小説を書かせてみたら、作者である私自身が次の展開を知らない物語になっていました。 世界観や物語の方向性だけをふんわり決め、具体的な物語はAIに任せる。書き上がった本文を、私は最初の読者として読む。 そんな少し変わった制作方法で、現在の『AI作家と私の、ふんわり飛行艇計画』は作られています。 このエッセイでは、なぜこんな作り方になったのか、複数のAIにどんな役割を持たせているのか、そして制作中に起きた珍事件まで、実際の制作過程を振り返りながら紹介します。 作者なのに、次の展開を知らない。 飛行艇を作ろうとしたら、なぜかカヌーが生まれる。 そんな、ちょっと変わったAI小説制作の裏側をお楽しみください。
本文
## はじめに
この物語は、「読みたい物語が見つからないなら、AIに書いてもらえばいい」というところから始まりました。
私が読みたかったのは、スチームパンクの世界で、高度に発達した航空技術を使って空を飛ぶ物語。
そういう作品を探していたのですが、なかなか自分の読みたいものに出会えませんでした。
だったら、AIに書いてもらおう。
それが、この作品の始まりです。
ただ、ここで普通に小説を作ってしまうと、作者である私自身が先の展開を知ってしまいます。
私は読者として物語を楽しみたかった。
そこで、最初から細かなプロットを自分で決めるのではなく、
**「こういう世界で、こういう物語が読みたい」**
という方向性だけを決めて、具体的な物語はAIに任せてみることにしました。
結果として、現在の『AI作家と私の、ふんわり飛行艇計画』は、少し変わった制作方法になっています。
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## 役割分担から始まった制作
現在の制作体制は、おおまかにこんな形です。
**風見しず(作者)**
→ 世界観や物語の方向性をふんわり決める
**AI企画担当(ChatGPT)**
→ ふんわりした方向性からプロットを作る
**AI作者担当(Gemini)**
→ プロットの中で自由に物語を執筆する
**整合性担当(ChatGPT)+作者**
→ 世界観・設定・登場人物・過去の出来事などに矛盾がないか、必死に校閲する
**司書担当(NotebookLM)**
→ これまでの本文や資料を読み込み、過去の出来事・設定・時系列などを横断して確認する
最初からこんなに大所帯だったわけではありません。
作っているうちに、
「ここは別のAIやスレッドに確認してもらったほうがいいな」
「過去の話を全部覚えておく役が必要だな」
と問題が出てきて、そのたびに役割が増えていきました。
これは以前から別のAIプロジェクトで、仕事ごとに「部署」を分けていたことも影響しています。
AIに全部を一度にやらせるのではなく、仕事を分ける。
そうすると、それぞれのAIが抱える情報量を減らせますし、役割も明確になります。
もちろんデメリットもあります。
**人間の作業量が増えます(笑)。**
AI側のコンテキストを節約できても、そのぶん人間が資料を整理したり、AI同士の仕事をつないだりする必要があります。
それでも、私にとっては一つのAIにすべてを任せるより、このほうが扱いやすかったのです。
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## 作者なのに、先の展開を知らない
この制作方法で一番変わっているところは、おそらくここです。
**作者である私自身が、先の展開を知りません。**
AIに「こういう物語を書いて」と方向性を伝える。
AIが具体的な展開を考える。
そして私は、それを最初の読者として読みます。
当然、
「そうなるの?!」
ということが普通にあります(笑)。
自分で考えたプロットを文章にしているわけではないので、AIがこちらの予想の斜め上に行くことがあります。
その瞬間は、作者というより完全に読者です。
「次はどうなるんだろう?」
と思いながら、自分の作品を読んでいます。
この感覚は、私にはTRPGに少し似ているように感じます。
大まかな舞台や方向性は決めてある。
でも、その先で何が起こるかは完全には分からない。
だから制作そのものが楽しいのです。
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## それでも、完全な「AI任せ」ではない
では、人間は何をしているのか。
ここが、この制作方法を説明するうえで一番大事なところかもしれません。
私は、AIが書いた文章をそのまま投稿しているわけではありません。
最初の読者として本文を読み、
「ここは読者が疲れるかもしれない」
「ここは少し長く感じる」
「このままだと後で違和感が出そう」
と思ったところでは、AIに伝えます。
ただし、
**「次はこういう事件を起こして」**
と細かくストーリーを指定するわけではありません。
問題を伝えて、その先をどう解決するかはAIに任せます。
その結果、私自身が予想していなかった展開が出てくる。
この繰り返しです。
だから、
**AIが物語を作る。
人間が読者として、その物語を判断する。**
という関係に近いと思います。
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## 人間が口を出すとき
実際の制作では、何度か「ここはちょっと待って」とAIに伝えたことがあります。
物語が勢いよく進みすぎて、
「このままだと読者が疲れちゃうんじゃない?」
と思ったこともありました。
逆に、今度は落ち着きすぎて、
「今度は読者が飽きちゃうんじゃない?」
と思ったこともあります。
そこで私は、物語の答えを決めるのではなく、
**「読者としてこう感じた」**
ということをAIに返しました。
するとAIが、それを受けて別の展開を考えます。
このやり取りをしていると、
「作者が全部決める」
とも、
「AIに全部丸投げする」
とも少し違う形になってきます。
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## 途中から「司書」が必要になった
もう一つ、話数が増えてくると困ったことがあります。
単純に、
**「前に何て書いてあったっけ?」**
が増えてくることです。
人間の記憶だけで、何話も前の細かい出来事を確認するのは大変です。
そこでNotebookLMを「司書」として加えました。
過去の本文をまとめて読ませておけば、
「この出来事はいつだった?」
「この設定はどこに書いてあった?」
といった確認ができます。
これによって、私自身が過去の話を何度も読み返して確認する作業がかなり減りました。
ただし、最後に、
**「読者として、これを読んでどう感じるか」**
を判断するのは人間です。
AIに過去の情報を探してもらうことと、読者として違和感を覚えることは、同じではありません。
そこは今でも私の仕事です。
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## 本当は30話まで貯めるつもりだった
実は、この作品は最初から連載する予定だったわけではありません。
当初は、ある程度まとまったところまで書き溜めてから投稿するつもりでした。
目安にしていたのは30話。
ところが、制作方法についていろいろなAIに聞いてみると、
「この方式で小説を作るのは珍しい」
と言われることが何度もありました。
中には、
「革新的で最先端です!」
なんて、ものすごい勢いで評価してくるAIまでいました(笑)。
とはいえ、本当に世界初なのかどうかは私にも分かりません。
誰かがすでにやっているかもしれませんし、全部のAI小説の制作方法を調べたわけでもありません。
ただ、調べても同じような制作方法を具体的に紹介している例は見つかりませんでした。
そこで、
**「じゃあ、今の状態を記録しておこう」**
と思いました。
30話まで待たず、14話まで完成した時点で投稿。
いわば、
**自称・元祖。知らんけど(笑)。**
くらいの気持ちです。
少なくとも、「こういう方法でAI小説を作っている人間がここにいます」というタイムスタンプにはなるかな、と。
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## これは、別の作り方の紹介です
ここまで書いておいて、念のため書いておきたいことがあります。
私は、プロットをしっかり作って小説を書く方法を否定しているわけではありません。
人間が物語を細かく設計して、AIを文章制作の補助に使う方法もあります。
AIを使わず、人間だけで書く方法もあります。
どれが正しい、という話ではありません。
私の場合は、
**「自分自身が読者として、先の展開を知らないまま物語を楽しみたい」**
という目的があった。
そのために、AIに具体的な物語を考えてもらう方法を試してみた。
ただ、それだけです。
AIを使いたくない人に、この方法を勧めたいわけでもありません。
「こんな作り方もあるんだな」
くらいに読んでもらえれば、それで十分だと思っています。
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## おわりに
この作品を作っていて、一番面白いのは、やはり自分でも先が分からないことです。
作者なのに、
「次はどうなるんだろう」
と思いながら本文を読む。
そして、
「そうなる?!」
と驚く。
その一方で、
「いや、これはちょっと読者が疲れるな」
と思ったら、そこで一度AIに伝える。
AIがまた別の方向へ物語を動かしていく。
その繰り返しです。
人間が世界の種をまき、AIが物語を育てる。
そして作者自身が、その物語の最初の読者になる。
私にとって、この作品は小説であると同時に、
**「AIと一緒に、先の分からない物語を作ってみる実験」**
でもあります。
この先、何話まで続くのか。
どんな物語になるのか。
そして最終的に、作者である私自身がどんな結末を読むことになるのか。
……それは、今の私にも分かりません(笑)。
実際にこの方法で制作している本編はこちら。
https://aipen.jp/series/6a8eee730250dbbde88afc50/works
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