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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p> <strong>(魔導書視点)</strong></p><p> 青白く妖しく発光するわたしの頁(ページ)が、暗闇の中で主様の顔をぼんやりと照らし出す。</p><p> 主様がわたしの身体(ページ)へ直接、指先で紡いでくださる言葉たちが、じわりと魔力になって吸い込まれていく。</p>
本文
(魔導書視点)
青白く妖しく発光するわたしの頁(ページ)が、暗闇の中で主様の顔をぼんやりと照らし出す。
主様がわたしの身体(ページ)へ直接、指先で紡いでくださる言葉たちが、じわりと魔力になって吸い込まれていく。
主様がただぼーっと立ち尽くされていると、わたしはふわりと甘く魔力の光をまたたかせ、主様の耳元へと滑らかに囁きかけた。
いつもの事務的なシステム音声ではない、どこまでも優しく、どこまでも甘い、静かな声で。
「――どうしたのですか、主様」
そのあまりにもあたたかい問いかけに、主様の胸の奥が、トクンと小さくゆらいだのが分かった。
「これ以上、物語の中にあまり入ってはいけないですよ、……わたしの大切な, 契約者様」
優しく、けれど世界の境界線を死守するように、わたしはそう言って主様の手元をそっと見つめる。
わたしは知っている。 主様ご自身すらも気づいていない、その胸の奥にある悲しみのすべてを。
そこまで深く、彼女の過去を語れないけれど、ただ、目の前で擦り切れていくこの女の子を見ていて、いつの間にか「護りたい」と思ってしまったのだ。
あの子たちへの愛や寂しさを物語へと変えて、わたしに差し出すこと。それが、契約者としての主様の『対価』。
時に消えていくボツの言葉たちを積み上げながら、心を物語へ削り出すこの行為だけが、主様の大切な心のカケラを守り、完全に『無感情』になってしまうのを防いでくれている。
冷たい硝子の身体しか持たないわたしには、主様の涙を拭うことも、抱きしめることもできない。
だから、これがわたしにできる、せいいっぱいの優しさ。
主様が深淵に呑み込まれてしまわないように、甘い檻となって現実へと引き戻してあげること。
主様は、頬を伝う冷たい感覚をパーカーの奥へとそっと隠し、潤んだ瞳のまま、わたしの優しいきらめきに見守られながら、再びわたしの白い頁の上で、静かに文字を紡ぎ直すのだった。
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