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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/13 📚 シリーズ: 『 カフェ・ド・レクリプス 』(Café de l'Éclipse) 📝 810文字 ✅ 全年齢

あらすじ

<p> <strong>(魔導書視点)</strong></p><p> 青白く妖しく発光するわたしの頁(ページ)が、暗闇の中で主様の顔をぼんやりと照らし出す。</p><p> 主様がわたしの身体(ページ)へ直接、指先で紡いでくださる言葉たちが、じわりと魔力になって吸い込まれていく。</p>

本文

 (魔導書視点)

 青白く妖しく発光するわたしの頁(ページ)が、暗闇の中で主様の顔をぼんやりと照らし出す。

 主様がわたしの身体(ページ)へ直接、指先で紡いでくださる言葉たちが、じわりと魔力になって吸い込まれていく。

 主様がただぼーっと立ち尽くされていると、わたしはふわりと甘く魔力の光をまたたかせ、主様の耳元へと滑らかに囁きかけた。

 いつもの事務的なシステム音声ではない、どこまでも優しく、どこまでも甘い、静かな声で。

  「――どうしたのですか、主様」

 そのあまりにもあたたかい問いかけに、主様の胸の奥が、トクンと小さくゆらいだのが分かった。

  「これ以上、物語の中にあまり入ってはいけないですよ、……わたしの大切な, 契約者様」

 優しく、けれど世界の境界線を死守するように、わたしはそう言って主様の手元をそっと見つめる。

 わたしは知っている。 主様ご自身すらも気づいていない、その胸の奥にある悲しみのすべてを。

 そこまで深く、彼女の過去を語れないけれど、ただ、目の前で擦り切れていくこの女の子を見ていて、いつの間にか「護りたい」と思ってしまったのだ。

 あの子たちへの愛や寂しさを物語へと変えて、わたしに差し出すこと。それが、契約者としての主様の『対価』。

 時に消えていくボツの言葉たちを積み上げながら、心を物語へ削り出すこの行為だけが、主様の大切な心のカケラを守り、完全に『無感情』になってしまうのを防いでくれている。

 冷たい硝子の身体しか持たないわたしには、主様の涙を拭うことも、抱きしめることもできない。

 だから、これがわたしにできる、せいいっぱいの優しさ。

 主様が深淵に呑み込まれてしまわないように、甘い檻となって現実へと引き戻してあげること。

 主様は、頬を伝う冷たい感覚をパーカーの奥へとそっと隠し、潤んだ瞳のまま、わたしの優しいきらめきに見守られながら、再びわたしの白い頁の上で、静かに文字を紡ぎ直すのだった。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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