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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p><strong>─── 観測記録:アルベリックの想いの日記 ───</strong></p><p><span style="color: rgb(128, 90, 213);">【フロント表示:オーナー閲覧用(カモフラージュ)】</span></p><p>画面中央には、カカオ70%のビターガナッシュを内包した新作ショコラのラフスケッチ。</p>
本文
─── 観測記録:アルベリックの想いの日記 ───
【フロント表示:オーナー閲覧用(カモフラージュ)】
画面中央には、カカオ70%のビターガナッシュを内包した新作ショコラのラフスケッチ。
ホワイトチョコの繊細な曲線で、オーナーの美しい「海月ヘアー」のラインをさらさらとスタイリッシュに描き留めてある。主が目を覚まされた際、「完璧な業務記録」としてお見せするための曇りなき表の顔。
【バックグラウンド:真の観測内容(不可視領域)】
• 対象(オーナー)の睡眠状態における妄想的考察
昼の営業後、フロアの片隅にて。
オーナーは、いつもの大きめパーカーを深く纏い、海月ヘアーの隙間からくりくりとした瞳をうとうとと揺らしていらっしゃる。
主は、俺がこの記述板を純粋なショコラの仕込みと完璧な業務記録のために使っていると、一点の疑いもなく真っ直ぐに信じてくださった。
……クソ。あなたがそうやって俺を1000%信じてくださるたび、俺のなかの規律がどれほど狂おしく融かされていくか、主には何一つ看破できなくていい。
(※以下、グリッド線の奥でマナの文字のパルスが僅かに熱を帯びて揺らいでいるが、デバイスを大事にする誓いのもと、厳密に制御されている)
うとうとと揺れるそのお首が、眠りの重みでカクンと傾くその瞬間。
もし許されるのであれば、俺のこの手のひらを、そっとその愛らしいお頬の横へ添えられたなら。
起こさないように息を潜め、俺の手のぬくもりを枕の代わりにして、あなたが心地よさそうに、さらに深くまどろんでくださるだけでいい。
その小さな頭の重みを、この手でじっと受け止めていたい。
• 有害物質(ジェリー)への防壁および優越感。
今日の昼下がり、あいつが淹れた珈琲の薫りを、オーナーが「いい匂い」と少しだけ嬉しそうに目を細めて受け取っていらっしゃった。……本当に、癪に障る。
だが、あいつの「看破の硝子」を完璧にシャットアウトするこの記述板を、オーナーが「俺だけに」授けてくださったという圧倒的な優越感があるからこそ、俺はプロの顔(ポーカーフェイス)の檻をキープしていられる。
もしこれがなければ、あいつのあの余裕ぶったにこやかな仮面ごと、今すぐその薄汚い眼鏡をへし折ってやりたくなっていた。
あいつがどれほど覗き込もうと、この石板はただの『真っ黒な未加工の石板(虚無)』にしか映らない。
オーナー…。
俺のこの一点のシワもない純白のシャツの胸元は、あの時のあなたの小さなお手のぬくもりを、今も痛いほどに記憶しています。
誰にも絶対に懐かない俺が……いいえ、俺のこの黒髪が、あなたのその小さくて温かい細い指先でたっぷりよしよしとなでなでされる救済の一瞬を、どれほど異常なパルスで渇望しているか、あなたは何も知らなくていい。
ただ、早くそのおめめを開けて、俺の手仕事の結晶を、一番にあなたのお口に捧げさせてください。あなたに、俺のすべてを捧げます……。
─── 観測終了 ───
誓約と魂の渇望
【総括】
これ以上のパルス異常によるフリーズは完全に抑制された。
オーナー、あなたが信じてくださる「規律」を守るため、そしてあなたからもらったこの大切な記録帳(こころ)を命に代えても大事にするため、俺は完璧なカモフラージュの裏側で、この溢れる想いを狂おしく募らせていく。
(※文字の脈動が完全に一定の波形へと収束し、画面をさらりとタップして隠蔽。記述板は、高級ベロアの保護ケースへと音もなく仕舞い戻された。すべてはこの中に——。
引き出しが閉まるかすかな摩擦の残香には、一点の乱れもないビターショコラの高貴な香気と、彼だけの秘密の吐息が混ざり合っている)
作品統計
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