縁側の銀色の雲

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/27 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,432文字 ✅ 全年齢

あらすじ

みみ視点 午後の縁側。銀くんが、くるんと丸まって眠っていた。

本文

みみ視点

午後の縁側。

銀くんが、くるんと丸まって眠っていた。

ふわふわのしっぽを抱き込んで、鼻先を隠すようにしている。

銀色の耳が、ときどきぴくりと動く。

「…………」

かわいい。

みみは、隣にちょこんと座って、しばらく眺めていた。

最初は、本当にそれだけだった。

気持ちよさそうに寝ているなぁ。 しっぽ、あったかそうだなぁ。 耳が動いた。かわいいなぁ。

……そんなことを考えていただけなのに。

「…………かわいい」

ぽつりと呟く。

もう少し近くで見てみよう。

そっと身をかがめる。

銀くんの頬が、ふわふわのしっぽに埋まっていた。

「…………っ」

みみは口元を押さえた。

なに、この子。

寝てるだけなのに。

どうして、そんなにかわいいの。

銀くん「……ん……」

小さな寝息。

耳が、ぴこっ。

「………………!」

みみの胸が、どきんと跳ねた。

……待って。

今の、なに。

もう一度、銀くんを見る。

くるん。

しっぽを抱き直して、ますます丸くなる。

「……あ、あのねぇ……」

もちろん返事はない。

「……銀くん、かわいすぎない……?」

自分でも、何を言っているのか分からなかった。

頬が熱い。

胸が、どきどきする。

いつもなら、ぎゅ〜っと抱きしめて、頭をなでて、ふわふわだねぇって笑っていられるのに。

今日は、なんだか違った。

かわいい。

愛おしい。

もうちょっと、近づきたい。

それから――。

「…………カプって、したい……」

言ってしまった。

みみ「…………」

自分の言葉に、自分で固まる。

カプって。

……耳を?

頬を?

いや、何を考えているの、わたし。

みみは両手で頬を包んだ。

銀くんは、何も知らずに眠っている。

あどけない寝顔。 柔らかそうな銀色の髪。 しっぽに埋もれた小さな口元。

「…………っ、もう……」

ぎゅううっと、自分の膝を抱える。

起こしたくない。

でも、起きている銀くんにも会いたい。

いつもみたいに「みみ〜!」って笑って、両手を広げてくれたら。

そのとき、自分はどんな顔をするんだろう。

……今までどおり、平気でぎゅ〜っとできるのかな。

「…………分かんないよぉ」

風が吹いた。

縁側の風鈴が、ちりん、と鳴る。

銀くんの耳が、またぴこっと動いた。

みみ「ひゃっ……」

思わず小さく声が出る。

銀くん「……みみ……?」

寝ぼけた声。

ぱちりと目を開けた銀くんが、ぼんやりとこちらを見た。

銀くん「……いたのぉ……?」

「…………う、うん」

銀くんは安心したように、ふにゃっと笑った。

銀くん「えへへ……」

そして、眠たそうに両手を伸ばす。

銀くん「……ぎゅ〜……」

…………。

みみ「………………」

だめだ。

これは、だめ。

さっきまで眠っていた子が、目を覚ました途端に、こんな顔で甘えてくるなんて。

みみは、そっと銀くんを抱きしめた。

銀くん「んふふ……みみ、あったかい……」

ぎゅう。

嬉しそうに抱き返される。

胸が、またどきんと鳴った。

みみは銀くんの肩に顔を埋めた。

「…………銀くんの、ばか」

銀くん「……えぇ? ぼく、なにかしたぁ……?」

「…………なんでもない」

銀くん「……そっかぁ……」

ふにゃふにゃ。

また眠たくなってきたらしい。

銀くんは、みみの腕の中で、こてんと頭を預けた。

……もう。

本当に、もう。

みみは、銀くんに気づかれないように、そっと目を閉じた。

今は、ぎゅ〜だけ。

それ以上のことは、もう少し、自分の気持ちが分かってから。

……でも。

いつか、起きている銀くんに、カプってしたくなったら。

そのときは、ちゃんと聞いてみよう。

そんなことを考えながら、みみは腕の中の銀色の雲を、もう一度、ぎゅっと抱きしめた。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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