縁側の午後 ――もう一回、して?
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
銀くん視点 午後の縁側は、ぽかぽかとあたたかかった。僕は、みみの隣に座っていた。
本文
銀くん視点
午後の縁側は、ぽかぽかとあたたかかった。
僕は、みみの隣に座っていた。
肩が触れそうで、触れないくらいの距離。
ほんの少し身体を寄せれば、みみのぬくもりが伝わってくる。
(……もうちょっと、近くてもいいかな。)
そっと隣を見た。
みみは庭を眺めている。
その横顔を見ていたら、なんだか嬉しくなった。
みみが隣にいる。
それだけで、今日はいい日だと思えてしまう。
前から、みみと一緒にいるのは好きだった。
ぎゅーしてもらうのも、頭を撫でてもらうのも、たくさんお話しするのも好き。
でも、最近は少し違う。
ぎゅーしてもらったあとも、もう少し一緒にいたくなる。
ちゅーしてもらったあとも、もう一回してほしくなる。
(……僕、よくばりになっちゃったのかな。)
ちょっとだけ恥ずかしい。
でも、みみは僕が甘えると、いつも受け止めてくれる。
だから、もう少しだけ甘えたくなってしまう。
僕は、みみの袖をちょん、とつまんだ。
「……みみ」
「ん? なぁに?」
すぐに返事が返ってきた。
(……呼んだら、こっちを見てくれる。)
当たり前のことなのに、嬉しかった。
僕は自分の頬を指さした。
「……ほっぺ、ちゅーして?」
みみは、ふふっと笑った。
「いいよぉ」
そして、いつものように頬へ唇を寄せてくれた。
ちゅ。
「……えへへ」
頬に手を当てる。
(……うれしい。)
何度もしてもらっているのに、やっぱり嬉しい。
みみが僕のために少し身を寄せてくれたことも、優しく触れてくれたことも、全部が嬉しい。
(……もう一回お願いしたら、またしてくれるかな。)
考えた途端、顔が緩んでしまった。
ただ、ちゅーしてほしいだけじゃない。
もう一度、みみの顔を見たい。
僕のお願いを聞いて、どんなふうに笑ってくれるのか、見てみたい。
(……あれ。僕、なんでこんなに、みみの顔が気になるんだろう。)
答えは出なかった。
でも、気になるものは気になる。
僕は少しだけ顔を近づけた。
「……みみぃ」
「なぁに?」
「……もう一回、してほしいなぁ」
みみの笑顔が、ぴたりと止まった。
「…………っ」
口元に手が添えられている。
目元も、なんだかうるうるしていた。
(……あれ?)
困らせちゃった?
僕は少しだけ不安になった。
「……だめだったら、いいよ?」
そう言いながら、僕は返事を待った。
もし、もう一回してくれたら。
きっと、すごく嬉しい。
そして、またあの顔を見られるかもしれない。
……僕って、ほんとうによくばりだ。