壱

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/27 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 919文字 ✅ 全年齢

あらすじ

みみ視点 (…………っ、もう!)私は口元を手で覆った。

本文

みみ視点

(…………っ、もう!)

私は口元を手で覆った。

ちゅー自体は、いつものこと。

ぎゅーだって、何度もしている。

銀くんが甘えてくれるのは嬉しいし、私からだって抱きしめたい。

だから、お願いそのものは、何ひとつ困らない。

困るのは。

(どうして、そんなに嬉しそうなのぉ……!)

銀くんは、こちらの返事を待っている。

ふわふわの銀色の耳。

期待を隠しきれない目。

ほんの少しだけ、こちらへ傾いた身体。

その全部が、私の理性をじわじわと追い詰めていた。

(いつもしてるでしょ? さっきだって、してあげたでしょ?)

(なのに、どうして「もう一回」って、そんな幸せそうなお顔をするの……!)

銀くんは、ただ甘えているだけ。

してほしいから、お願いする。

嬉しいから、笑う。

もっと一緒にいたいから、少し近づく。

その素直さが、たまらなかった。

(……かわいい。)

思わず、目元が熱くなる。

(ほんとに、かわいいよぉ……。)

私は、銀くんのことが大好き。

だから、もっと甘えてほしい。

もっと頼ってほしい。

私の前では、遠慮せずに嬉しいことも、寂しいことも、伝えてほしい。

銀くんが私に心を許してくれることが、嬉しくてたまらない。

(……なのに、どうしてこんなに余裕がなくなっちゃうの。)

銀くんが、そっと首を傾げた。

「……みみ?」

「……んぅ」

「どうしたの?」

(そんなふうに、心配そうに見ないでぇ……。)

「……僕、よくばりすぎた?」

(違うの! よくばりなのは、むしろ大歓迎なの!)

心の中で叫んだ。

もっと甘えてくれていい。

ぎゅーしてほしければ、してほしいと言っていい。

ちゅーが嬉しかったら、もう一回ってお願いしてくれていい。

私は、銀くんのそんな気持ちを受け止めてあげたい。

……なのに。

(これ以上かわいくなられたら、私、どうしたらいいのぉ……。)

私は、そっと息を吸った。

銀くんが愛おしい。

抱きしめたい。

もっと甘やかしてあげたい。

その気持ちが、最近、少しずつ大きくなっていた。

「……だめじゃないよぉ」

私は、ようやく顔を上げた。

「もう一回、してほしいんでしょ?」

銀くんの耳が、ぴんっと立った。

「……うん!」

(…………あああ、もう!)

その返事が嬉しくて、かわいくて。

私は銀くんの頬に、もう一度ちゅっとキスをした。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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