伍
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
みみ視点 「……明日も、ぎゅーしてね?」私は、銀くんを抱きしめたまま、しばらく黙っていた。
本文
みみ視点
「……明日も、ぎゅーしてね?」
私は、銀くんを抱きしめたまま、しばらく黙っていた。
(…………明日も。)
今日だけではない。
今だけでもない。
銀くんは、明日も私のところへ来て、ぎゅーしてほしいと言ってくれるのだ。
そう考えた途端、胸の奥が、どうしようもなくあたたかくなった。
(……嬉しい。)
素直に、そう思った。
銀くんが明日も会いたいと思ってくれること。
私と過ごす時間を、楽しみにしてくれること。
それは、どんな甘い言葉よりも、心に響いた。
(……この子の中に、私と過ごす時間が、少しずつ増えていくのね。)
そのことが、たまらなく愛おしい。
銀くんは、まだ自分の気持ちを全部わかっているわけではないのだろう。
ただ甘えたい。
一緒にいたい。
もっと嬉しい気持ちになりたい。
その素直な気持ちに従って、少しずつ距離を縮めている。
その変化が、私にはわかる。
だからこそ、嬉しい。
だからこそ、困る。
(今だって、こんなにかわいいのに。)
(これから、もっと甘え上手になったら……?)
私は、銀くんの頭を撫でた。
銀くんは、気持ちよさそうに目を細める。
「……えへへ。みみ、すき」
(…………ああ。)
私は、そっと目を閉じた。
(長命種の余裕なんて、もうどこにもないわ。)
それでも、腕の中の銀くんを離したいとは思わなかった。
「……うん。明日も、ぎゅーしようね」
そう答えると、銀くんは安心したように笑った。
「……約束?」
「……約束」
銀くんの尻尾が、嬉しそうにふわりと揺れた。
私は、その背中に腕を回し直す。
(……明日も、か。)
胸の中に、ひとつ楽しみが増えた。
銀くんが明日、どんな顔をしてやって来るのか。
どんなふうに甘えてくれるのか。
考えるだけで、嬉しくなる。
そして、その想像だけで、もう少しだけ困ってしまう。
(……本当に、困った子。)
私は銀くんを抱きしめたまま、小さく笑った。
……明日も、きっと同じだ。
銀くんは嬉しそうに甘えてくる。
私は、そのかわいさに耐えられなくなる。
それでも。
明日も、その次の日も。
この子が隣に来てくれるのを、楽しみにしている私がいるのだった。