*弐
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
銀くん視点 ぎゅー。みみに抱きしめてもらっている。
本文
銀くん視点
ぎゅー。
みみに抱きしめてもらっている。
銀くんは、ほっと息を吐いた。
(……あったかい)
さっきまで胸の奥でそわそわしていたものが、少しだけ静かになった。
でも、みみが離れてしまうのは、まだ惜しい。
そんなことを考えている自分に気づいて、銀くんは小さく瞬きをした。
(……僕、甘えんぼになったのかなぁ)
しっぽが、みみのそばでふわふわ揺れる。
「……みみ」
「なぁに?」
「……もうちょっと、このままがいい」
私は思わず微笑んだ。
「うん。いいよ」
銀くんは嬉しそうに目を細めた。
――けれど。
ここは、まだ縁側。
夜風は少し冷たいし、月は綺麗だし、宿の廊下には誰かが通るかもしれない。
だから今夜は、ただ優しく抱きしめているだけ。
銀くんの気持ちがどこへ向かっていくのかは、銀くん自身がゆっくり知っていけばいい。
私は背中をとん、とん、と優しく撫でた。
「……寒くなってきたねぇ」
「……うん」
「もう少ししたら、お部屋に戻ろうね」
「…………」
銀くんの耳が、ぴくり。
帰りたくない気持ちは、まだ残っているらしい。
けれど今は、みみの腕の中で、ふわふわのしっぽを揺らしながら。
「……えへへ」
ただ、幸せそうに笑っていた。
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