弐

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/27 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,177文字 ✅ 全年齢

あらすじ

みみ視点 兄「……それで、みみ。お前は銀のことをどう思っているんだ?」私は湯呑みを置いた。

本文

みみ視点

兄「……それで、みみ。お前は銀のことをどう思っているんだ?」

私は湯呑みを置いた。

みみ「しょーじきに話していいですか?」

兄「もちろん」

みみ「銀くんが可愛すぎてごめんなさい」

兄「…………え?」

銀「………………っ!?」

銀くんの耳が、ぼんっと赤くなった。

私は構わず続ける。

みみ「いや、ほんとに。あの子、可愛すぎるんですよ。どうしましょうね、あれ」

兄「……あれ?」

みみ「はい。あれです」

兄「…………」

お兄さんの湯呑みを持つ手が止まった。

私は三日間の出来事を思い返す。

みみ「それでですね。三日間、いろいろありまして」

兄「……三日間?」

みみ「はい。境界の狭間のお宿で」

兄「…………そうか」

みみ「最初はですね、こう……銀くんが可愛くて。ぎゅってしたり、ほっぺにちゅーしたり」

銀「み、みみっ……!」

みみ「え? 事実でしょ?」

銀「そ、そうだけど……!」

兄「…………」

お兄さんが銀くんを見た。

銀くんは両手で顔を覆った。

耳だけが、見事に赤い。

私はさらに言葉を選んだ。

選んだのだ。

たぶん。

みみ「それで……あの、ですね」

兄「……うん」

みみ「銀くんの、チェリーもらいました!」

兄「……………………」

ぴたり。

お兄さんが完全に停止した。

湯呑みも動かない。

瞬きもしない。

銀「~~~~~~っ!!」

銀くんは顔を覆ったまま、座布団に沈んでいった。

みみ「……あれ?」

兄「…………」

みみ「お兄さん?」

兄「…………チェリー?」

みみ「はい!」

兄「…………銀の?」

みみ「はい!」

兄「………………」

お兄さんの視線が、ゆっくりと弟へ向いた。

銀「ち、違っ……いや、違わないけど……っ! お兄ちゃん、こっち見ないで……!」

兄「…………」

みみ「いやぁ……可愛かったです」

銀「みみぃぃ……!」

みみ「だって、可愛いんですもん」

兄「…………」

お兄さんは、ようやく湯呑みを卓に置いた。

こつん。

兄「……待て」

みみ「はい?」

兄「……私は今、弟が女性を連れて帰ってきた理由を、少しばかり理解したつもりだった」

みみ「はい」

兄「だが、話が……いや、情報が……」

言葉が続かない。

兄「…………」

銀「お兄ちゃん、お願いだから何も聞かないで……」

兄「いや。聞きたいことは山ほどある」

銀「~~っ!」

兄「だが、どこから聞けばいいのか分からん……!」

……お兄さん、完全にフリーズしてしまった。

私は首を傾げる。

みみ「……あの。お兄さん?」

兄「…………はい」

みみ「銀くん、すっごく可愛いですよね?」

兄「…………」

兄は弟を見た。

耳まで真っ赤にして、みみの隣で縮こまっている銀を。

それから、ゆっくりと目を閉じた。

兄「……ああ」

兄「それは……今、よく分かった」

銀「お兄ちゃぁぁん……!」

兄「……少し、茶を飲ませてくれ」

みみ「どうぞ!」

兄「…………」

(……台帳様。あなた様が諦めた理由が、少し分かった気がする)

お兄さんは、冷めかけたお茶を静かに飲んだ。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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