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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,816文字 ✅ 全年齢

あらすじ

見守り狼たち ベーカリーを離れたみみは、通りに並ぶ店を眺めながら歩いていた。先ほどの男性との会話も、もう気にしていないらしい。

本文

見守り狼たち

ベーカリーを離れたみみは、通りに並ぶ店を眺めながら歩いていた。

先ほどの男性との会話も、もう気にしていないらしい。

みみ「次はどこに行こうかな」

足取りは軽い。

通りには楽しそうな人々があふれている。

友人同士で笑い合う人たち。家族で買い物をする人たち。恋人と手をつないで歩く人たち。

その賑やかさに、今度は自然と笑顔が戻っていた。

みみ「ふふ。いい街だなぁ」

少し先に、可愛らしい雑貨屋が見えた。

店先には小さな焼き菓子の箱や、街の紋章をあしらった小物が並んでいる。

みみ「あっ、お土産!」

嬉しそうに近づく。

そして、肩から提げていたリンゴ印の巾着を手に取った。

口を開けて、中を覗く。

みみ「えっと……お財布、お財布」

ころん。

小さなお財布を取り出す。

その様子を、通りの反対側から見ていたカミルは、思わず目を細めた。

カミル「…………」

仲間A「ボス、あの店に入るようですね」

仲間B「何か買うんでしょうか」

カミル「見れば分かる」

仲間A「お土産ですかね」

カミル「さあな」

そう答えながらも、カミルの視線はみみから離れない。

みみは店先の商品をひとつずつ眺めている。

小さな箱を手に取り、裏返してみたり、隣の商品と見比べたり。

どうやら、誰かへのお土産を選んでいるらしい。

仲間B「楽しそうですね」

カミル「ああ」

その返事は、いつもより少し柔らかかった。

(……いい顔をしている)

さっきの寂しそうな表情は、もう見えない。

カミルは腕時計に目を落とした。

まだ仕事は残っている。

カミル「行くぞ。次の店に寄る」

仲間A「了解です」

仲間B「……ボス、帰りにあの雑貨屋へ寄ります?」

カミル「何のためだ」

仲間B「いえ、別に」

カミル「余計なことを考えるな」

狼たちは小さく笑いながら、ボスの後についていった。

一方、みみはというと。

みみ「これも可愛い……あ、こっちも!」

まだまだ、お買い物を楽しむつもりらしい。

そして、リンゴ印の巾着には、これから少しずつお土産が増えていくことになりそうだった。

街の喧騒から、緑のある場所へ

雑貨屋を出たみみは、買ったものをリンゴ印の巾着にしまった。

街歩きは楽しい。

けれど、しばらく歩いていると、賑やかな商店街の向こうに広い緑が見えてきた。

大きな公園だった。

街の中心部にあるとは思えないほど広く、手入れされた芝生が広がっている。

木々の間には散策路があり、奥には小さな林もある。

ベンチや水飲み場も整備され、花壇には季節の花が植えられていた。

みみ「わぁ……!」

足が自然とそちらへ向く。

みみは昔から、こういう場所が好きだった。

綺麗なお店も好き。

可愛い雑貨も好き。

でも、風が吹いて木々が揺れる場所は、また別の嬉しさがある。

みみ「気持ちいい……」

芝生の広場を見渡す。

子どもたちが走り回り、家族がレジャーシートを広げている。

友人同士でおしゃべりする人たち。

犬と散歩する人たち。

その向こうには、木陰で本を読む人もいた。

みみは少し笑って、林へ続く小道を眺めた。

カミル視点

同じ頃。

カミルは商業区画の店舗確認を終え、仲間たちと次の連絡場所へ向かっていた。

仲間A「ボス、最後の報告は公園の近くです」

カミル「ああ。そちらへ回る」

仲間B「……あ」

仲間Bの視線が、通りの先へ向く。

仲間B「みみさん、いました」

カミルがそちらを見る。

公園の入口。

淡い色の服を着たみみが、木々を見上げていた。

カミル「……公園か」

仲間A「お好きなんでしょうかね」

カミル「自然のある場所は好きだと言っていた」

仲間B「よくご存じで」

カミル「聞いているからな」

何でもない返事だった。

けれど、カミルの視線は少し優しい。

みみは入口で立ち止まり、広い園内を見渡している。

やがて、楽しそうに歩き始めた。

カミル「ここは管理が行き届いているな」

仲間A「はい。巡回も定期的に入っています」

カミル「林の奥は?」

仲間A「遊歩道があります。立ち入り禁止区域も明確です」

カミル「そうか」

カミルは公園の様子を確認するように視線を巡らせた。

仕事の確認としても必要なことだった。

もちろん、みみが歩いているからという理由だけではない。

……ということにしておく。

仲間B「ボス、あちらの林道も確認しますか?」

カミル「仕事の範囲内ならな」

仲間A「はいはい」

カミル「返事は一度でいい」

狼たちは笑いをこらえながら歩き出した。

公園の中では、みみが木漏れ日の下で立ち止まっていた。

街の華やかさとは違う、穏やかな午後。

みみの足取りは、さっきよりもずっと軽かった。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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