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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 2,136文字 ✅ 全年齢

あらすじ

公園――見守り狼視点 みみがベンチで足をぶらぶらさせていると、先ほどの男性が小道の向こうから姿を現した。男性「ああ、先ほどの……またお会いしましたね」

本文

公園――見守り狼視点

みみがベンチで足をぶらぶらさせていると、先ほどの男性が小道の向こうから姿を現した。

男性「ああ、先ほどの……またお会いしましたね」

穏やかな声。

男性は少し距離を空けて立ち止まり、にこやかに会釈した。

みみの方へ、ゆっくりと近づいてくる。

その様子を、少し離れた木立の陰から見守り狼の一人が確認した。

仲間A(……あの男)

花屋の近くで、みみと話していた男性だ。

特に揉めていた様子もなかった。公園で偶然再会しただけにも見える。

仲間A(また声をかけているのか)

男に不審な動きはない。

少なくとも、今見えている範囲では。

仲間Aは仲間Bに小さく合図を送った。

仲間A「例の女性のところに、先ほどの男性が現れました」

仲間B「花屋の近くで話していた男か?」

仲間A「ああ。今のところ、普通に声をかけただけだ」

仲間B「分かった。念のためボスに伝えておこう」

裏通り――カミル視点

仲間から報告を受けたカミルは、現場の調査資料から目を上げた。

仲間B「ボス。みみさんのいる公園に、先ほどの男性が現れたそうです」

カミル「……みみのところに?」

仲間B「はい。花屋の近くで話していた男です。今は公園で、また声をかけているとのこと。特に揉めている様子はありません」

カミルは一拍置いた。

カミル「そうか」

短く返事をして、再び資料に目を落とす。

今は事件の調査を優先しなければならない。

カミル「引き続き、距離を保って見ていろ。みみに余計な警戒をさせるな」

仲間B「了解です」

カミル「何か変化があれば、すぐ報告しろ」

仲間B「はい」

カミルの指が、資料の端を押さえた。

(……今は、まだ判断できん)

公園の男と、裏通りで見つかった女性。

この時点では、二つを結びつける情報は何もない。

ただ、カミルの縄張りで起きた事件だ。

そして、みみはその街にいる。

カミルは静かに目を細めた。

公園――みみ視点

男性「森の香りですか……」

みみ「はい。森って、こうしているだけで受け入れてくれている気がするでしょう?」

男性の表情が、ほんのわずかに止まった。

男性「………受け入れ」

その言葉を、確かめるように繰り返す。

男性「受け入れてくれるなら、あなたは俺を受け入れてくれますか?」

みみ「……え?」

みみは男性の顔を見た。

先ほどまでの穏やかな笑顔とは、どこか違う。

みみ「すみません。あの、ごめんなさい。ちょっと意味が分からないのですが……」

ゆっくりと立ち上がる。

ベンチから離れるように、そろそろと後ろへ下がった。

みみ「私、そろそろ行きますね…」

手元のリンゴ印の巾着を持ち直す。

男性は座ったまま、みみを見上げていた。

公園――見守り狼視点

男性の様子が変わった。

みみが立ち上がって距離を取る。男性もまた、ゆっくりと立ち上がった。

仲間A「……まずいな」

仲間B「どうした?」

仲間A「男がみみさんについていっている。様子がおかしい。報告するぞ」

仲間Bはすぐに連絡を入れた。

公園――みみ視点

(……気持ち悪い)

みみは早足になった。

(なんか暗いし、人もいないし……。公園、広すぎるよ……)

後ろから付いてきている足音がする。

(カミル、怒るね。うん。帰ろう。とりあえずカミルのいるお部屋に帰ろう)

気を紛らわせるように、帰ったあとのことを考える。

けれど――

みみ「……」

そっと後ろを振り返る。

……いる。

男性は、まだついてきていた。

(怖……)

みみはポケットに手を入れ、守り札を取り出した。

ぎゅっと握りしめる。

いつもなら、これでどうにか切り抜けられる。

けれど、今は何かが違う。

(……これ、やばいかも)

みみの指先に、ぎゅっと力がこもった。

裏通り――カミル視点

仲間からの報告を受け、カミルが次の指示を出そうとした、そのとき。

手元のスマートフォンが震えた。

画面に表示されたのは、短い通知。

 『カミル!』

カミル「……っ!」

見慣れない通知ではない。

台帳様の力によるものだ。

みみの守り札は、あらかじめ登録されている。危険が迫り、みみがそれを握りしめたとき、カミルへ知らせが届く仕組みだった。

カミルは画面を見つめたまま、表情を変えた。

仲間A「ボス?」

カミル「みみの守り札が反応した」

仲間たちの空気が一変する。

カミル「公園だ。場所を確認しろ。全員、動け」

低い声に、抑えきれない怒りが滲んだ。

カミル「……みみに何かあったら、許さん」

スマートフォンを握る手に力がこもった。

スマートフォンに届いた「カミル!」の通知。

カミル「……みみ!」

その瞬間、カミルの身体が動いた。

仲間A「ボス、待ってください! 現場から追加報告です!」

カミル「走りながら聞く!」

仲間A「先ほど発見された女性の遺体ですが、急に冷たく、青く変色したそうです。その後、身体が灰になり……禍々しい姿に変わって、調査にあたっていた仲間を襲ったと!」

カミル「何だと……!」

仲間A「魔獣とも妖怪ともつかない異常な気配です!」

カミルの瞳が赤く染まる。

カミル「……同じものか」

(みみのそばにいる男。あれが関係しているのか)

確証はない。

だが、守り札が反応した。

今はそれで十分だった。

カミルは人の姿を保つこともやめ、狼の姿へと変じる。

地面を蹴った。

仲間たちも続く。

仲間B「ボス、先に行ってください!」

カミル「言われるまでもない!」

巨体が街路を駆け抜ける。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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