閑話――銀くん③

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/1 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 866文字 ✅ 全年齢

あらすじ

閑話 — 誰に似たんだか お兄さんと修行中のある日 山の開けた場所。

本文

閑話 — 誰に似たんだか

お兄さんと修行中のある日

山の開けた場所。

銀はお兄さんの前にちょこんと座っていた。

兄「銀、もう一度やってみろ。さっきの感覚を忘れるなよ」

銀「はい!」

銀は目を閉じ、身体の中に流れる霊力に意識を向ける。

けれど、しばらくすると耳がぴくぴく動き始めた。

兄「……集中できているか?」

銀「で、できています!」

兄「尻尾がずいぶん忙しいぞ」

銀「えっ……」

銀は慌てて自分の尻尾を振り返った。

兄は小さく笑う。

兄「まったく、誰に似たんだか……」

銀「?」

兄「いや、何でもない」

そう言いながら、兄は銀の銀色の毛並みを眺めた。

(……そういえば、あいつの弟も銀色だったな)

ふと、昔の親友の顔が浮かぶ。

親友はもういない。

けれど、その弟の姿は今も覚えている。

(懐かしいな……)

銀「お兄さん?」

兄「ん?」

銀「どうかしましたか?」

兄「いや。お前の毛並みを見ていただけだ」

銀「僕の?」

兄「ああ。綺麗な色だな」

銀は少し照れたように耳を伏せた。

兄「ほら、休憩は終わりだ。もう一度やるぞ」

銀「はいっ!」

元気よく返事をする銀。

兄はその様子に目を細め、再び修行を始めた。

(……本当に、誰に似たんだか)

今度は口には出さず、そっと笑った。

銀くん — お兄さんから見た弟

銀は、俺の弟だ。

血のつながりはない。けれど、縁あって引き取り、それから一緒に暮らしている。

実年齢は二十歳ほどになるが、妖狐の成長はゆっくりだ。まだまだ幼く、素直で、少々甘えん坊なところもある。

銀色の毛並みは、この里では珍しい。

狐耳も尻尾も、柔らかく淡い銀色をしている。本人はあまり気にしていないようだが、俺には時々、不思議な縁を感じさせる色だった。

昔、俺には親友がいた。

そいつには弟がいて、別の土地で暮らしていた。銀色の毛並みをした狐だった。

親友はもういない。

ふと銀の毛並みを見ると、昔のことを思い出す。

(……誰に似たんだか)

そんなことを思いながら、今日も弟の修行に付き合っている。

不器用でもいい。焦らなくてもいい。

この先、どれほど時間がかかろうと、銀は銀だ。

俺が引き取った、大切な弟なのだから。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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