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第12話 知りたいから

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/10 📚 シリーズ: 五色の音色に囚われて 📝 2,992文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

五色の音色に囚われて - 第12話 知りたいから

本文

「弱みを晒したくないんだけど」

「腹割って話すのが何で弱みを晒す事になるんだよ……」

「アタシの何を聞きたいっていうのよ」

「えー……趣味とか?」

「お見合いでもするつもり?」

「別に誕生日とかでも良いんだ。私はもっと金原の事が知りたいんだよ」

「……誕生日は6月6日。アンタの誕生日は?」

「私? 11月25日だけど……」

「ふーん、そう」

自分から聞いてきた癖に興味無さそうだな。

「アタシの趣味は……音楽鑑賞。実益も兼ねてるけど」

「五行輪舞の作曲してるもんな」

「アンタは?」

「私は……渋谷散策かな。優等生の自分を崩す感覚っていうか」

「へぇ」

本当に私に興味無さそうだな。

金原が興味を持ちそうな話題と言えば……

「恋とは昔っからあんな感じなのか?」

「生まれた時からの幼馴染みだもの。

小さい頃は今より見境無しで誰にでも抱き着いてキスしてたわ」

「あー……」

そりゃ過保護になるのも無理無い、か?

それでも無垢なままで居させる為に外敵を遠ざけるってのは思想が強過ぎる気もするけど。

「なんで恋はアンタみたいなのを……」

「学校でもそんな事言ってたけど……マジなのか?

恋って誰に対してもあんな感じだろ?」

「アンタに向ける感情だけは違う。アタシには分かるのよ」

金原はそう言ってまたピアスに触れる。

この話題は避けた方が良さそうか……?

「ピアス、好きなのか?」

「そりゃあね。ママがデザインした作品だもの」

「え、あ、そうなのか!? だからそんなに沢山……あれ、でもおばさんはそんなに沢山付けて! って言ってたよな?

っていうか学校では何時もそんな感じで……??」

「……朝家出る時は外してるのよ。学校に着いたら付け直してるの。それで、家に帰る時にまた外してる」

「面倒くないか? おばさんのあの言い方だと、一個だけなら許してくれそうな雰囲気だったけど」

「最初は一つだけだったわよ。ママもパパも喜んでくれたし、クラスの友達もカッコイイピアスだって褒めてくれた。

でもママの作品の取捨選択したくないから新作が出る度に追加していった。

そうしたら……いつの間にか『周りに流されずピアスを好きなだけ付けている金原 涼音がカッコイイ』って言われるようになった」

「それで引っ込み付かなくなった?」

「ピアスを減らして、折れたとか大人に屈したとか。

そう言われてダサいと思われて……ママの作品までカッコ悪いって言われてたらって思うと……」

「でもずっとこのままって訳にも行かないだろ?

新作出る度に付けてたら耳の面積足りなくなるだろ」

「じゃあどうしろってのよ。アタシはママの作品に優劣を付けるなんて出来ない」

「その気持ちは……分かるよ。優劣を付けるのは苦しいよな……

だから、私が選ぶよ。どれが良い悪いじゃなくて、金原に似合う奴を」

「ピアスを減らした言い訳は?」

「私に没収されたって言えば良い。普段からピアス外せって言ってるから自然だろ?

それに、あれだ。お前顔が良いからピアス減らしても別に馬鹿にされたりしないって」

「……そうやって恋を誑かしたのね」

「そんなんじゃねーって! つーかお前等なら顔が良いとか言われ慣れてるだろ?」

「まぁね。……じゃあ、試しに選ばせてあげるわ」

そう言って金原はピアスの収納ボックスを引っ張り出してきた。

ピアス一つ一つが丁寧に収納されている。

「えっと……んー」

どれも綺麗だ、と思う。

私はピアスにもファッションにも詳しい訳じゃない。

でも、一つ……目に留まるピアスがあった。

「じゃあ、これ……」

それは金の塗装が施された三角のピアス。

単に金原だから、とか。

丸より尖ってる方がらしいな、とか。

そんな理由だけど……それでも私なりに似合うと思ったんだ。

「ふーん……」

値踏みする様に私の選んだピアスを見つめる金原。

「付けて」

「えっ」

「付けなさいって言ってるの」

金原はそう言いながら耳を向ける。

ただ、それよりも細い首筋に目が行って落ち着かない。

「な、なんでだよ……! 今付けても寝る時には外すんだろ?」

「実際に付けてみないと分からないじゃない」

「自分で付けろよ」

「アンタが選んだんでしょ。責任持ちなさいよ」

「うぅ……っ」

金原の言い分は理に適ってない、と思う。

それでも私の言葉でピアスを減らす選択を選んだのなら……それに応えないといけないとも思う。

「上手く出来ないかもしれないぞ?」

「別に失敗したからって死ぬ訳じゃないわ。さっさとしなさい」

「なら良いけど……」

金原の耳に触れる。

……柔らかい。

そして少し熱い。

人の耳ってこんなに熱かったか? それとも、私の指が冷たいのか?

「手付きが嫌らしいわ」

「あ、ごめん……!」

「まさか本当に私の耳のストーカー? ほら、早く」

「お、おう……!」

今度こそ余計な事は考えずにピアスを付ける。

……うん、上手く出来た、と思う。

「どう?」

「ふぅん……ま、良いんじゃない?」

「そうか……!」

取り敢えずは金原から及第点を貰えたらしい。

ホッとして肩の力が抜けた。

「……あ」

「なによ」

「やる事があったんだ。写真取って良いか?」

「はぁ? 何に使う気よ」

「別に変な事に使わねーって。ほら撮るぞ」

スマホの画角に私と金原を入れてシャッターを切る。

よしよし、二人共ばっちり入ってる。

後はこれを……

「何してるの?」

「恋に送ってる。進展があったら連絡するって約束してたから。

仲直りしたって教えれば安心するだろ?」

「……いや、待ちなさ」

「涼音ん家だ!」

「……え」

金原の静止が終わる前に。

窓の外から驚きと喜色に満ちた声が聞こえた。

その直後、ガチャッという音が鳴り目を向ける。

薄着の恋が、足をこっちに伸ばしていた。

「あぁもう! 窓開けるから待ってなさい!」

金原が立ち上がり窓に向かう。

そう言えば恋と金原は幼馴染だったな。

それなら家が隣同士だったり、こうして窓を通じて2階の自室を行き来する事も有り得るか。

「涼音と愛花が仲直り出来て良かったよー! 嫌いって言ってごめんね涼音〜!」

恋は私と金原を纏めて抱き締める。

薄着だから……うん。柔らかいな……

「……良かったわね。大好きな愛花が面倒事から逃れられて」

「……? うん! 二人が喧嘩したのはきっとボクのせいだから……うぅ〜! 二人共大好きだよ〜!」

恋は私達を更に強く抱き締めた。

これは金原が心配するのも分かるけど……私から見れば平等に慕っているように感じる。

本当に私に特別な感情を抱いてるのか……?

「はぁ……」

「金原?」

そんな事を思っていると金原が大きな溜息を吐いた。

「えぇ、私と愛花はとっても仲良くなったのよ。ねぇ?」

「え」

いきなり、金原が蠱惑的な笑みで私に撓垂れ掛かった。

「……は!? え、金原……!?」

「まぁ、金原だなんて……さっきみたいに涼音って呼んで欲しいわ」

「涼音ぇ!?」

思わず声がひっくり返った。

それと同時に、私を抱き締める腕に力が入ったのを感じる。

チラッと恋の顔を覗き見ると、恋は分かり易く頬を膨らませていた。

もしかして……

金原は恋と“私を取り合うライバル”になる事で恋の視線を自分に向けようとしているのか……っ⁉︎

「ふふ、愛花もピアス空けてみる? アタシがやってあげるわよ?」

「だ、ダメ! 愛花は委員長なんだから! 不真面目は渋谷に居る時だけだもん!」

マジかー……

何がアレってそれぞれの思惑はともかく、顔の良い女に取り合われてるのが嬉しいというか優越感というか。

自分の単純な脳みそに呆れるな……

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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