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第14話 進化

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/12 📚 シリーズ: 五色の音色に囚われて 📝 2,322文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

五色の音色に囚われて - 第14話 進化

本文

「ふふーん、プルプルコニー♪ プルプルコニー♪」

「もう、歌いながら歩かないでよ! 子供っぽいじゃない!」

「そこ右」

恋と土屋が前を歩いて。

その少し後ろを涼音が歩きながらナビをして。

私はその更に後ろを歩いている。

こうして見ると身長差が顕著だ。

そもそもにして五行輪舞の面々はデカいのが過半数だ。

恋はモデル体型だし、涼音も恋程じゃないけど背が高い。

木ノ葉に至っては180ぐらいあるんじゃないかってぐらいデカい。

そして私は平均よりは小さい方だが、土屋は更に小さい。

デカい奴等に囲まれてるから殊更に小さく見える。

そんな中で意外なのが水城だ。

喧嘩っ早く、ヤンキーや格闘技経験者とタイマン張ってる癖に身長自体は平均的。

かと言って太ってたりムキムキマッチョなりで体重が重い訳でもない。

一応体育の成績はトップクラスに良くてフィジカルは優れているんだろうけど、それで強いのが不思議だ。

何か武道の類を習っているとは風の噂で聞いた事はあるが……

「着いたー!」

「走るんじゃないの」

そうこうしている内にエイモンセンターに着いたらしい。

分かり易くはしゃぐ恋と土屋を涼音が抑える。

……にしても一番落ち着きがあるのに何ともミスマッチな風景だ。

涼音みたいに大量のピアスを付けたパンクファッションの女なんて他に居ないぞ。

「……で、土屋は何が目当てなのよ?」

「エレキ・シザーのぬいぐるみ!」

エレキ・シザー……人間形態の時はギタリストとして活動しているという設定のエイリアンだ。

エイリアン形態は黄色いカマキリ男。

ちなみに恋が口走っていたプルプルコニーは人間形態時はアイドルでエイリアン形態はピンクのクラゲ。

「期間限定品なの! えっと……あった!」

「プルプルコニーもある!」

土屋と恋が棚からぬいぐるみを取って喜んでいる。

……クラゲとカマキリなんだが? え、エイリアン形態のぬいぐるみ?

いや、だからこそ期間限定なのか?

「愛花と涼音は何か欲しいのある?」

「別に」

涼音はマジで興味なさそう。

それに私も……

「買っても家に持って帰れないからな」

「あいかの家って厳しいの?」

「いや、そこまでじゃないけど。でも真面目な委員長で通してるから。

だから私がこんな格好で渋谷歩いているのも内緒にしてくれな?」

「……!? え、えぇ! 任せなさい!」

流石にウィンクしながら人差し指を唇に当てる仕草はキザ過ぎたか……?

まぁ、土屋は分かってくれたようだし良いか。

恋と土屋が会計を終えて。

このまま土屋を1人にするのも何だし……と、ライブハウスの下見はまた今度という事でそのまま帰路に着いた。

◇◇◇◇◇

『みんなー! 盛り上がってるー!?』

ウォォオオオオオ!! とライブハウス、Noise Nestに響き渡る歓声。

観客の視線の先には今やこの箱No.1の地位を不動の物としたガールズバンド、五行輪舞。

前回のライブで一皮剥けたと評判。

有名なアマチュアバンドのライター『バン君』に取り上げられた事もあり、今日のNoise Nestは満員御礼。

登場前から五行輪舞の話題で持ち切りで、観客の殆どが五行輪舞を目当てに来ていると言っても過言じゃない。

『それじゃあ早速、一曲目行くよー! ……金色狂騒(ゴールド・ラッシュ)!』

恋が曲をコールすると再び歓声が上がる。

どうやら曲名はその曲で目立つメンバーの文字を入れるらしい。

つまりこの曲はベースの金原 涼音のソロパートがあると言う事。

如何にもパンクな風貌の観客から一際大きな歓声が湧き上がる。

恋と涼音が視線を交差させて同時に頷いた。

演奏が始まり、涼音がピックを持った指で弦を弾く。

メロディアスなフレーズを奏でながらベースラインを弾く。

それに呼応する様に他のメンバーも動き始める。

アップテンポな曲調の中にも一体感があり、まるで一つの生物が鼓動を刻んでいるかのように錯覚する。

否が応にも観客のテンションは上がり、そのボルテージに比例して演奏の熱量も上がる。

そして……

『Find your gold rush!!』

恋がステージ中央でマイクスタンドを摑みながらサビを高らかに歌い上げて。

曲が終わり、一瞬の静寂の後。

ウォオオオオ!! と今日一番の歓声が上がった。

『えへへ! 涼音のベース、超クールだったよね!

でも、まだまだ終わらないよ! 次はぁ……異風土凰土凰(いふうどうどう)!」

今度は野太い声と黄色い声が混ざり合った完成。

曲名からして可愛いもの好きなお姉さんとおじさんに人気なギタリスト、土屋 玲於奈が活躍するんだろう。

『にゃあーーーーーーっ!』

いや、実際にそう言っているのかは分からない。

ただそう言っていても可笑しくない挙動はしている。

土屋はその小さい身体を目一杯後ろに倒し、ギターを弾く。

ギターの重みでようやく釣り合うような体勢で必死に演奏する様は気迫すら感じる。

「玲於奈ちゃーん!!」

「かっこいいよー!」

このステージ上の気迫と、ステージを降りた後の可愛らしいギャップが土屋の人気の秘訣なんだろう。

『最高だったよレオー! お客さんも超盛り上がってたね!

次はとうとう最後の曲。ボク達を一歩先に歩ませてくれた曲。

聞いてください……愛火」

Noise Nestが、揺れた。

確かにそう感じる程に、歓声は一際大きく。

全員がこの曲を待ち焦がれていたのが伝わってくる。

観客全員の目が、熱気が、期待が恋に注がれる。

そしてその目を一身に集めながら……恋がマイクを掴んだ。

「……凄い」

曲が終わって、呆然としていた。

以前にも聞いた事がある筈なのに、さらに進化したような印象を受ける。

火口 恋はこの街一つに収まる器じゃないと、そう思っていた。

けれどもしかしたら……世界へ羽ばたくべきなのは恋だけじゃないのかもしれない。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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