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第4話 叶わぬ恋、叶わぬ想い

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/2 📚 シリーズ: 売りに出されて三年目、神様のお世話係に任命されました 📝 2,585文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

売りに出されて三年目、神様のお世話係に任命されました - 第4話 叶わぬ恋、叶わぬ想い

本文

「美子ちゃん!」

「小春様?」

「その頭の血は何⁉︎ あの化け物にやられたの⁉︎」

「い、いえ! 神様は私の頭を撫でてくれただけで……きゃっ⁉︎」

その帰り道。

待ち伏せていた小春様に手を引かれてお屋敷に連れていかれます。

そのまま浴室まで連れて行かれると、有無を言わさず服を脱がされました。

小春様自身もお着物を脱いで共に浴室に足を踏み入れると、温かいお湯で頭と体を洗われました。

「い、いけません! ただの下女である私が昼間からお風呂を頂くなんて!」

「けれど血の付いた頭ではお屋敷を汚してしまうでしょう?」

「それは……」

「それに、美子ちゃん。あの化け物に触られたのよね?

だったら念入りに綺麗にしなくちゃ。

血も脂も臭いも……全部全部洗い流さなきゃ」

小春様は優しく、念入りに私の髪を濯いでくれます。

それがあまりに心地良くて、ついうとうとしてしまったその瞬間。

「ひぁっ」

首筋に柔らかく、そして温かい物が触れました。

ちゅう、という音と吸われる感覚で、それが小春様の唇だと気付きました。

そして、背中に小春様のお胸が触れる感覚と共に、左右の手が私の胸とお腹に伸びます。

「こ、小春さま……っ」

「駄目、駄目よ。あの化け物に触られたのなら、私が触れて浄化しなくちゃ」

「んっ、ふひゃ……っ」

有無を言わさずお腹を撫でられ、声が漏れ出てしまいます。

元より私に拒否権などは存在せず……そもそもにして小春様に触れて頂ける事に喜びを感じているのも確かなのです。

快感、という感覚はまだ分からないまでも、小春様の優しく暖かな手に触れて頂けると心が満たされるのです。

「ひあぁ……っ」

「可愛いわ美子ちゃん……さぁ、力を抜いて。私に身を任せて……」

「こはる、さま……」

「良い、美子ちゃん。油断しては駄目。気を許しては駄目。

幾ら見てくれが美しかろうと鬼は鬼。人を喰らう化け物なのよ。

きっと美子ちゃんの事もあの爪でお腹を裂いて臓物を貪り食うつもりなんだわ」

「ひぅ……っ⁉︎」

くすぐったくて、少し恥ずかしくもあって、ふわふわした頭に小春様の言葉が染み込んできます。

あぁ、あぁ、ごめんなさい。

小春様の事は本当お慕いしているのです。

こうして愛して頂けて、無常の喜びを感じているのです。

あぁ、ですが、ですが……神様への想いも、また本物なのです。

神様に名前を呼ばれた時。

頭を撫でて頂けた時。

私は喜びで胸がいっぱいになったのです。

「美子ちゃん。好きよ。可愛い可愛い」

「はぅ……っ、わたしもっ、こはるさまが……!」

「あぁ、本当に可愛い……」

誰かがこの胸の内を聞いているならば、不敬極まりないこの想いをお許しください。

神様に抱く崇敬の念と小春様に抱く慕情をどうかお許し下さい。

どうせ叶わぬ恋なのです。

どうせ叶わぬ想いなのです。

小春様はいつの日か立派な殿方へ嫁ぐでしょう。

神様は悠久の時を生きて何時しか私の事など忘れてしまうのでしょう。

ですから、どうか今この時だけでも……

※※※※※

神様のお世話係りを仰せつかって三ヶ月が経ちました。

少しずつではありますが簡単な会話なら出来るようになったのです。

おひつからお米を拝借した事はバレてしまいこってりと叱られましたが、小春様が庇ってくれたので事なきを得ました。

そんなある日の事……

「美子、少しこっちに来なさい」

「は、はいっ」

旦那様に手招きされて座布団の上に正座します。

この場には奥様と小春様もおりました。

呼ばれた理由が分からず、私の頭の中は恐怖でいっぱいでした。

何しろ握り飯の件で怒られたばかりなのです。

また何か別の過ちを犯してしまったのでは……と不安に思っていると、旦那様はにっこりと微笑まれました。

小春様以外の方が私に笑いかける事など殆ど無いので、殊更に驚いてしまいます。

「あ、あの、私は何か粗相を……」

「粗相? とんでもない!」

ははは! と旦那様は上機嫌に笑われました。

「お前が世話係りになってからあの鬼は随分と大人しくなった。

そればかりか簡単な言葉まで口にするようになったな」

「は、はい……?」

「昨日見物に来た客人が大層喜んでいてな。おかげでこちらの覚えも良くなった。

流石に近付きさせはしなかったが……以前のような獣染みた鬼よりは遥かにマシな見世物になった」

そう言って旦那様は更に上機嫌に笑います。

少しだけ怒りが湧いてきましたが、神様の美しさならば芸術品として鑑賞する価値も確かにあるのでしょう、と納得もしてしまうのです。

それに、今の口振りから察するに“人”は食べさせてはいないご様子で、少し安心致しました。

今朝見た限りでは頭蓋骨も増えてはおりませんでしたし。

それが神様が人を殺めていないという事に対してか、私以外の人から食事を受け取った訳ではないという事に対してか、それは自分でも分かりませんでしたけれど。

「そこでだ。お前に褒美をやろうと思う」

「わ、私にですか?」

「うむ。何か欲しい物はあるか?」

「欲しい物……」

上手く考えが纏まりません。

そりゃ人並みにお金であったりご馳走であったりは欲しいとは思います。

ですが、ですが、それよりも欲しい物が二つもあるのです。

我ながらなんと強欲、とも思い。

どちらを選ぶべきか、旦那様を前に考え込んでしまうのです。

「どうした? それほど大層な褒美でも考えているのか?」

「い、いえっ! その……どちらを頂こうかと……っ」

「何を求める? 言ってみろ」

「あ、ぅ……そ、その……」

顔を伏せてちらりと旦那様を見上げます。

上機嫌で、私に褒美を与えてくださるというのは本当のようで、うじうじと悩んでいる私を待ってくれていました。

なので、私も覚悟を決めて顔を上げたのです。

「その……また小春様と寝食を共にするお許しと、神様に握り飯をお出しするお許しを頂ければ、と」

「物では無く小春と過ごす時間と神……鬼に握り飯を食わせる権利と?

欲深いんだか謙虚なんだか分からん奴だな……まぁ、良かろう。許す」

「……! ありがとうござますっ!」

「美子ちゃん!」

「ぷぎゅ」

旦那様の許しを得て顔を上げると、小春様が感極まったように私に抱き着きました。

「あぁ、なんて良い子なのかしら! 私、ずっと寂しかったのよ!

あの化け物に美子ちゃんの握り飯を与えるのは気に食わないけれどね」

「そ、それで神様も落ち着きを取り戻したところもあると思うので……」

「分かってるわ、我慢してあげる」

そう言って、小春様はますます強く抱き締めました。

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生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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