第20話 襲撃
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あらすじ
売りに出されて三年目、神様のお世話係に任命されました - 第20話 襲撃
本文
「逃げろっ! 此処は我が食い止める!」
「麗鬼様っ!」
「行くわよ美子ちゃん! 私達が居た所で足で纏いよ!」
取り敢えず山に入る、所までは順調でした。
しかし私達は既に六条の巫女さんに捕捉されていました。
以前見た青い髪と目の巫女さん達が襲いかかってきたのです。
麗鬼様を置いていくのは心苦しいですが、確かに私が居た所で役には立たないでしょう。
「美子ちゃん! 早く!」
「は、はい!」
小春様に手を引かれながら私は走り出します。
そんな私達を巫女さん達は追おうとしてきましたが……麗鬼様がそれを阻んで下さいました。
「ぐぁっ!?」
「麗鬼様っ!?」
ですが、直後に麗鬼様の悲鳴が響きました。
あぁ、あぁ、こればかりはどうにも成らないのです。
麗鬼様は力を失い、曰く中級程度の力しか残っていないのです。
対して巫女さんは妖退治の専門家……何よりもかつて荒ぶっていた頃の麗鬼様を封印したのも他ならぬ六条の巫女さんなのですから。
「縛っ!」
「あぅ!?」
「くっ!?」
そして、その麗鬼様の眷属たる私と小春様もまた巫女さんの標的なのです。
待ち伏せていた他の巫女さんが呪いを唱えると、複数枚の御札が私と小春様の手足に巻き付き、地を滑るように倒れて身動きが取れなくなってしまいました。
「くっ、美子ちゃん!」
「小春様……っ」
「封っ!」
「んん……っ!?」
巫女さんが新たな呪いを唱えると御札が私の口に、次いで別の御札が目を覆う様に張り付いてきました。
これでは身体どころか言葉を話す事すら叶いません。
「運ぶぞ」
「はっ!」
「んん〜っ!」
「ん……っ」
そして私は……そして恐らく小春様も。
持ち上げられて運ばれます。
抵抗しようにも手足を縛られた上に目も口も封じられた私はもう何も出来ません。
ただ巫女さん達のされるがままです。
「降ろせ」
「んぐっ!?」
どさ、と乱雑に降ろされました。
右側には柔らかい感触。
次いで左側に私と同じくどさっと落とされた音と振動。
恐らく麗鬼様、小春様と並べられているのでしょう。
「出せ」
合図と共に手綱の鳴る音。そして馬の嘶き。
大地を蹴る音を立ててすぐ振動とガラガラ音に包まれました。
巫女さんに囚われた私達はどうなってしまうのでしょうか……
※※※※※
どれ程時間が経ったでしょうか。
恐怖に支配された私は正確な時間など分かりません。
ただ、振動と音が止み……馬車が止まった事だけは理解出来ました。
ぎぃ、と扉が開かれる音が耳に入ります。
「降りろ。足だけは解いてやる」
「ん……っ」
「んん!」
乱暴に引っ張られて思わず声を上げてしまい……それに反応してか麗鬼様が呻き声を上げながらバタバタと暴れている、のでしょうか。
「ちっ……雷っ!」
「んおおおぁぁぁぁぁあぁぁ……っ!?」
バチバチッという耳を貫く様な雷の音と麗鬼様のくぐもった悲鳴。
そして音も振動も無くなりました。
目が見えずとも分かります。
私の危機に麗鬼様が反応し、そして責め苦を受けたのでしょう。
「中級妖魔の分際で……良いか、大人しく付いてこい。
逆らえば貴様の眷属にも同じ術を食らわせるぞ。
分かったら頷け……よし、足の拘束を解いてやる。解っ!」
その声と共に私の足の御札が剥がれ落ちます。
きっと麗鬼様と小春様もそうなのでしょう。
「立て! ほら歩け!」
無理矢理立たされて、背中を押されて歩かされます。
ですが後ろ手に縛られ、目も見えない私は恐る恐る、よたよたとしか歩けません。
口を封じられている状態ではその事を伝える事すら出来ないのです。
「もたもたするな!」
「んん……っ」
巫女さんに小突かれて、思わずたたらを踏んでしまいます。
ですが抵抗する手段などあろう筈もなく……恐怖を押し殺し、歩みを早めるしかありません。
「止まれ」
十分程歩いたでしょうか。
歩みを止められ、がらっと襖が開かれる音。
「ん……!?」
麗鬼様の悲鳴と落下音。
次いで小春様の悲鳴と、これまた落下音。
そして予想通り……私も突き飛ばされて肩から床に落下しました。
何やら嗅ぎ慣れない、奇妙な匂いが充満した部屋です。
「華水(かすい)様、麗鬼とその眷属を確保しました!」
「お疲れ様、操青(みさお)。こっちにいらっしゃい」
「? はい」
私を小突いた声の主が部屋に入ったのでしょうか?
ぎし、と床鳴りの音を響かせながら私の上を通過して……
「雷」
「ぎゃあっ!?」
悲鳴が聞こえました。
「か、華水様! 何を……っ!?」
「私は丁重にお連れしろと言ったわ。だというのにこの有様は何? まるで捕虜の連行じゃない」
「そ、それは……抵抗が激しくやむ無く……」
「山で捕らえた時はそうでしょうね。けれどこの神域に着いた後は違う。
落ち着かせて説得する猶予は十分にあった筈よね?
式神で見ていたから言い訳は聞かないわよ」
「それ、は……っ」
「操青の沙汰は追って伝える。それまで自室謹慎」
「しょ、承知致しました。失礼致します……」
明らかに気落ちと恐怖が綯い交ぜになった声色で操青さん? と、部下の方々が退室されたようです。
そして聞こえる溜め息一つ。
「解」
「……っ!?」
その一言で、私達を縛る御札はいとも簡単に剥がれ落ちてゆきました。
目に入ったのはやはり青い髪と目の巫女装束を纏った女性。
他の巫女さんと違うのは、白い羽織りを着ている所です。
「龍青、さん……?」
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