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トランシーバー

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/10 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 1,453文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

水族館の裏手には、海風が吹いていた。

ブルーシートで作られた風よけが揺れ、アザラシの子どもが小さく身じろぎする。

ミオはその背中をそっと撫でていた。

シオナはしばらく考えてから、90式の方へ戻った。

砲塔後部の荷物入れを開け、布に包んでいたものを取り出す。

黒い小型のトランシーバー。

それと予備の電池。

木更津のショッピングモール跡で見つけたものだった。

サヤが気づいて、少し目を丸くする。

「それ、渡すの?」

「うん」

シオナは頷いた。

「大洗に残るなら、あった方がいい」

二人はミオのところへ戻る。

ミオは差し出されたトランシーバーを見て、困ったように瞬きをした。

「……これ」

「トランシーバー。電池もある」

シオナは本体の横を指で示す。

「ここのつまみで電源。こっちで音量。話すときは、このボタンを押す」

サヤが横から付け加える。

「難しくないよ。私でもできた」

「サヤでも、は余計」

「ごめん」

ミオは少しだけ笑った。

けれど、すぐに表情を引き締める。

「でも、いいの? 大事なものじゃないの?」

「大事だから渡す」

シオナは静かに言った。

「私たちは勝田に行く。90式の調子を見ないといけない。でも、何かあったときに連絡できた方がいい」

ミオはトランシーバーを両手で受け取った。

まるで壊れやすい生き物を抱えるように、慎重だった。

「……私、使えるかな」

「試そう」

サヤが明るく言う。

シオナはもう一台を持って少し離れた。

水族館の入口の方まで歩き、振り返る。

サヤがミオの横で教える。

「ここ押して。押してる間だけしゃべるの」

ミオはこわごわボタンを押した。

雑音が少し走る。

『……聞こえますか』

シオナの手元のトランシーバーから、ミオの小さな声が聞こえた。

シオナは応答する。

『聞こえてる』

ミオは驚いた顔になった。

『ほんとに?』

『ほんと』

サヤが笑う。

「ほらね」

ミオは胸の前でトランシーバーを握りしめた。

「……すごい」

その声は、ほんの少し震えていた。

「これがあれば、ひとりでも……完全にひとりじゃないんだね」

サヤはその言葉に少し黙り、それからやわらかく言った。

「うん。完全には、ひとりじゃない」

その後、ミオは二人に道を教えてくれた。

大洗から那珂川を渡る道。

橋の状態。

ひたちなか側へ抜ける目印。

勝田駐屯地へ向かう大きな道。

地元の人間らしく、ミオの説明は地図より分かりやすかった。

「この先、橋まではたぶん大丈夫。前に一度、歩いて見に行ったから」

「一人で?」

サヤが驚く。

ミオは少し照れたように頷いた。

「動物の餌になりそうなものを探してて。遠くまでは行けなかったけど」

シオナは地図に印をつける。

「助かる」

「気をつけて。勝田の方は、私はあまり見てないから」

「うん」

出発の準備が整うと、二人は90式へ戻った。

サヤが砲塔に上がり、ミオに手を振る。

「すぐ戻るって言い切れないけど、無線は入れるね」

ミオはトランシーバーを胸に抱えたまま頷いた。

「待ってる。こっちも、何かあったら呼ぶ」

シオナは車体に手をかけ、最後に一度だけ振り返る。

「ミオ」

「うん」

「無理はしないで。動物たちも大事だけど、ミオも大事だから」

ミオは一瞬きょとんとして、それから少し困ったように笑った。

「……うん。わかった」

90式のディーゼルが低く唸り始める。

冷却系を気にして、シオナはいつもよりさらに慎重に車体を動かした。

履帯がゆっくり回り、90式は水族館前の道を離れていく。

ミオは海風の中に立ち、姿が小さくなるまで見送っていた。

手には、黒いトランシーバー。

それは大洗に残った彼女と、旅を続ける二人をつなぐ、初めての線だった。

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作者について

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財団法人はるな会

人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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