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秋田駐屯地の軽油

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/28 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 3,669文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

国道7号線と県道26号線の交差点で、シオナは一度速度を落とした。

まっすぐ進めば、市役所と県庁方面。

曲がって国道7号線をたどり、四ツ屋街道へ入れば秋田駐屯地方面。

ミズホは地図を見たまま言った。

「中心部へ入るより、まず駐屯地だと思う」

サヤも外を見ながらうなずいた。

「市役所の方、車が多そう。奥に入る感じがする」

シオナは前を見た。

「駐屯地へ行こう。秋田の中を調べるのは、秋田の人たちとつながってから」

90式はゆっくりと曲がった。

シオナは相変わらず30km/hを超えない。

雪は止んでいるが、路肩には積雪が残り、ところどころ凍ったように光る場所もある。市街地に近づくほど放置車両は増えたが、完全に道が塞がっているわけではなかった。

何より、ところどころに人の手が入っていた。

車が端へ寄せられている。

交差点の雪が押しのけられている。

簡易の案内板が置かれている。

「人がいる」

サヤが短く言った。

ミズホはノートに書き込む。

「秋田市南部から駐屯地方面、除雪・整理痕跡あり」

やがて、駐屯地へ向かう道の先に、警戒線のように車両とバリケードが見えてきた。

シオナは十分手前で90式を止めた。

急に近づかない。

相手に判断する時間を与える。

サヤが外を確認する。

「人影あり。二人、こっち見てる。武器は構えてないけど、かなり警戒してる」

シオナはエンジンをアイドリングに落とした。

「ここで待つ」

ミズホがうなずく。

「降りるなら、私たちだけで。車両は動かさない」

三人は外へ出た。

シオナは両手を見える位置にして、数歩だけ前へ進んだ。

「こんにちは。神町駐屯地の方と連絡を取りながら、南から来ました。自衛官ではありません」

相手側の一人が、しばらくこちらを見ていた。

「神町?」

声には驚きが混じっていた。

ミズホが答えた。

「はい。神町駐屯地、舟形、新庄、庄内、にかほ、西目を経由して来ました。にかほでは、由利本荘市役所と秋田地本の方々の巡回班にも会っています」

その言葉で、空気が少し変わった。

もう一人の隊員が駐屯地内へ連絡を入れる。

しばらくして、警戒線の奥から数人が出てきた。階級章や装備までは三人にはすぐ分からなかったが、中心にいる年配の上位らしい男が、慎重に近づいてきた。

彼は90式を見てから、シオナたちを見た。

「その90式は?」

シオナは正直に答えた。

「東京で放置されていたのを見つけてから、移動手段として使っています。砲弾は積んでいません。戦うためには使っていません」

曹長は少しだけ目を細めた。

「……なるほど。見れば分かる。撃ちに来た車両ではないな」

サヤが小さく息を吐いた。

曹長は続けた。

「神町の誰と話した」

ミズホはすぐに記録袋からメモを取り出した。

「神町駐屯地では司令部要員の方々と、整備では葛西曹長という方に見ていただきました。舟形若あゆ温泉清流センターの共同体とも連絡をつないでいます」

「葛西曹長か」

その名前に、秋田側の隊員の一人が反応した。

「神町の整備の?」

「はい」

シオナはうなずいた。

「90式の外部ラック補強、濡れ物箱の取り付け、冬道仕様の確認もしてもらいました」

曹長は90式をもう一度見た。

「それでここまで来たのか」

「はい」

しばらく沈黙があった。

それは疑いというより、呆れに近い沈黙だった。

だが、その奥には少しだけ感心も混じっていた。

「分かった。中へ入ってもらう。ただし車両は誘導に従って、指定場所へ。神町や山形県方面の情報も聞きたい」

シオナは頭を下げた。

「ありがとうございます」

曹長は短くうなずいた。

「ようこそ秋田駐屯地へ。よく来た」

その一言で、三人の肩から少し力が抜けた。

90式は駐屯地内の指定された広い場所へ誘導された。

完全に平時の駐屯地ではなかった。

使われている建物は限られ、車両も整理されている。雪かきされた通路だけが動線になっており、他の場所には雪が残っている。

それでも、人がいた。

炊事の匂い。

発電機の音。

除雪道具を持った隊員。

通信のために出入りする者。

行政関係者らしい腕章をつけた人。

神町とはまた違う。

秋田駐屯地は、傷ついた都市の中で、細く踏みとどまっている拠点だった。

三人は庁舎の一室へ案内され、そこでこれまでの経緯を説明した。

東京から始まり千葉、茨城、栃木、福島、神町、舟形、新庄、庄内、酒田、にかほ、西目。

どこに人がいて、どこで電気が残り、どこで無線が届かず、どこで雪に止められたか。

ミズホが記録を見ながら話し、サヤが現地の様子を補足し、シオナが90式の運用と道路状況を説明した。

秋田側の幹部は黙って聞いていた。

「神町が生きているのは大きい」

一人が言った。

「舟形、庄内、にかほまで線がつながったなら、南側の状況がかなり見えてくる」

別の隊員が地図に印を入れていく。

「問題は北だ。能代、大館、青森方面」

シオナはその地図を見た。

旅は、まだ終わっていない。

話が一段落した後、90式は整備区画へ移された。

秋田駐屯地の整備隊員たちは、車体を見てすぐに作業に入るのではなく、まずシオナに尋ねた。

「ここまで、燃料はどうしていた?」

シオナは少し緊張した。

「ガソリンスタンドや施設で、残っている軽油を確認して使ってきました。神町でも教わりましたが、冬なので号種には気をつけるようにと」

整備隊員はうなずいた。

「その理解でいい。ただ、少し補足しておく」

彼は燃料缶を指しながら言った。

「冬の軽油には号種がある。寒い場所では、低温で固まりにくいものが必要になる。3号軽油なら寒冷地向けとして安心できる場面は多い」

シオナは真剣に聞いていた。

「やっぱり、絶対に3号軽油じゃないと駄目ですか」

整備隊員は首を振った。

「絶対、という言い方はしない方がいい。気温、保管状態、燃料の劣化具合、車両側の状態、走る距離。全部で変わる。2号でも動く時は動くし、3号でも状態が悪ければ駄目だ」

サヤが横から聞いた。

「号種だけ見れば安心、ってわけじゃないんですね」

「そう。番号だけで信じない。特に今は、いつ入れられた燃料か分からない。水が混じっているかもしれない。劣化しているかもしれない。タンクの底に何が溜まっているかも分からない」

ミズホがノートに書き始める。

「確認すべき点は?」

整備隊員は、シオナにも見えるように容器を持った。

「まず見た目。濁りがないか。変な浮遊物がないか。水が分離していないか。次に匂い。明らかにおかしい匂いがしないか。触るなら慎重に、質感。妙に粘る、ざらつく、変な沈殿がある。そういう時は使わない方がいい」

シオナは頷いた。

「今までも一応見ていました。でも、そこまで細かくは……」

「ここまで来られたなら、運も判断も悪くなかったんだろう。だが北へ行くなら、さらに気をつけることになる」

整備隊員は車体を軽く叩いた。

「この車両は強い。だが、強い車両ほど、燃料が悪いと厄介だ。動かなくなったら人力ではどうにもならない」

その言葉は重かった。

90式は頼もしい。

でも、止まったらただの巨大な鉄の塊になる。

シオナははっきりとその現実を感じた。

「これからは、給油前に必ず確認します。色、濁り、匂い、水の分離、沈殿、質感。可能なら少し取ってから」

「そうだ。あと、古いスタンドならタンクの底から無理に吸い上げない。欲張らない。残っている燃料全部を取ろうとしないこと」

「底に水や汚れがあるからですか」

「そう。最後の方ほど危ないことがある」

ミズホが書き留めた。

「燃料は全部取らない。底を狙わない」

サヤが小さく言った。

「食べ物と一緒で、残ってるからって全部いっちゃ駄目なんだね」

整備隊員は少し笑った。

「まあ、近いな。腹を壊す燃料もある」

シオナは真剣な顔のまま言った。

「神町では、燃料の管理と積み方を教わりました。ここでは、燃料そのものの見方を教わった気がします」

整備隊員はうなずいた。

「北へ行くなら必要になる。秋田から先は、補給できる場所があっても、質は毎回違うと思え」

「はい」

シオナは短く答えた。

その返事は、神町を出た頃より少しだけ強くなっていた。

整備区画を出る頃、サヤはシオナの横に並んだ。

「また覚えること増えたね」

「うん」

「燃料の色とか匂いとか、私も見るよ」

シオナはサヤを見た。

「助かる」

ミズホもノートを閉じながら言った。

「私は記録と比較をする。どこで入れた燃料か、状態はどうだったか。後で不調が出た時に追えるように」

「三人で燃料係?」

サヤが言う。

シオナは少し笑った。

「三人で一両分だから」

サヤも笑った。

「出た」

秋田駐屯地の整備区画の向こうで、90式が静かに置かれている。

砲弾はない。砲塔上の機銃もない。

その代わり、外部ラック、濡れ物箱、防寒装備、整備教本、記録袋、士気袋がある。

戦うためではなく、進むための90式。

秋田駐屯地で、シオナはまた一つ、その面倒の見方を覚えた。

燃料は、ただ入れるものではない。

見て、疑って、選ぶものだ。

北へ向かう道は、まだ長い。

能代、大館、そして青森。

でも、秋田まで来たことで、線は確かにつながった。

そしてシオナたちは、少しずつ旅人ではなく、90式とともに北をつなぐ者になっていった。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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