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101号線を避ける夜

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/28 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 2,284文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

能代のホテルの一室で、三人は地図を広げていた。

外は静かだった。

にかほや西目で聞いたような、窓を叩く雪の音はない。だが、静かだからといって安心できるわけではないことを、三人はもう知っている。

テーブルの上には、秋田駐屯地でもらった道路情報のメモ、道の駅や施設で拾った観光地図、ミズホのノート、そして能代市周辺の広域地図が重ねられていた。

サヤが地図を覗き込む。

「ここから北に行くなら、海沿いに出る道もあるんだよね」

ミズホは地図上の線を指でたどった。

「ある。米代川を渡って、能代の沿岸側へ出て、国道101号線を北上する形」

「青森に近そうには見える」

「近そうには見えるけど」

ミズホはそこで言葉を切り、地図をさらに見た。

シオナも身を乗り出した。

能代から日本海側を北へ伸びる道。

そこには国道101号線がある。だが、その周辺には90式が安心して選べるような大きな迂回路がほとんど見えなかった。

海。

山。

集落。

川。

橋。

狭い区間。

そして一本道に近い国道。

シオナはしばらく黙っていた。

「ここ、塞がれたらきついね」

ミズホがうなずく。

「うん。101号線が生きていれば分かりやすい。でも、もし途中で橋が駄目だったり、放置車両で詰まっていたり、吹き溜まりで進めなくなったら、戻るしかない」

サヤは顔をしかめた。

「戻るにも時間がかかるやつだ」

「そう。しかも海沿いだから、天気が急に変わる可能性がある」

その言葉で、三人ともにかほの露天風呂を思い出した。

いや、露天風呂ではない。そこへ逃げ込む前の白い道。

道の駅鳥海を出たあと、急に視界が消えていったあの感じ。

サヤが小さく言った。

「海沿いの雪は、もう分かった」

シオナは地図の101号線を見た。

「90式なら道が悪くても進める、って考えたくなるけど」

ミズホが続ける。

「でも、90式でも道そのものが使えなかったらどうにもならない。橋、トンネル、狭い場所、落石、倒木、放置車両。一本道は逃げ場が少ない」

「それに」

シオナは低く言った。

「止まる場所が限られる」

サヤは頷いた。

「にかほみたいに、ちょうど逃げ込める場所があったから助かったけど、毎回そうとは限らないもんね」

「うん」

シオナは今度は国道7号線を見た。

能代から内陸寄りへ進み、二ツ井方面へ。

さらに大館へ。

そこから弘前方面へ抜ける道。

ミズホが説明する。

「国道7号線を通る方が距離としては回り込む感じになる。でも大きめの道が続く。二ツ井、鷹巣、大館と、段階的に町を確認できる。迂回候補も101号線より多い」

サヤが地図を見ながら言った。

「海沿いを一気に行くより、町をつないでいく感じか」

「そう」

ミズホは国道7号線の上に指を置いた。

「まずは道の駅ふたつい。ここなら能代から近いし、国道沿いで広い。道路状況を見るにも、休憩するにも、情報を探すにもいい」

シオナは少し考えた。

「明日の第一目標を、道の駅ふたついにする」

サヤが頷く。

「そこまで行って、まだ行けそうなら先へ?」

「うん。でもまずはそこまで。天気と道路と90式の状態を見る」

ミズホがノートに書く。

明日、国道7号線を東へ。

第一目標、道の駅ふたつい。

沿岸101号線は当面避ける。

理由、一本道に近く迂回困難。海沿いの天候急変リスク。橋・狭隘部・放置車両時に撤退困難。

7号線は大館方面への接続、途中拠点、迂回候補が多い。

サヤはその文字を見て、少し安心したように息を吐いた。

「決まると落ち着くね」

シオナは地図から目を離さなかった。

「決まったけど、楽な道ってわけじゃない」

「うん」

「大館へ行くなら山もある。雪もある。内陸だから全部安全というわけじゃない」

ミズホがうなずいた。

「だから、明日は道の駅ふたついまでを一区切りにする。そこでまた判断」

サヤはベッドに腰を下ろした。

「最近、毎日そんな感じだね。一区切りまで行って、そこでまた決める」

シオナは少しだけ笑った。

「それでここまで来たから」

部屋の中には、ホテルの弱い照明が灯っていた。

窓の外には能代の夜がある。雪は降っていない。だが、遠くの空は暗く、明日もこのまま保つかは分からない。

ミズホはノートを閉じた。

「能代で補給できたのは大きい。ドラッグストアで医療品も増えた。カイロもある。食料も少し増えた。燃料は秋田で満タン。今のうちに無理しないルートを選ぶべきだと思う」

サヤが小さく笑う。

「満タンだからって遠回りで遊びに行くわけじゃないもんね」

「そう。余裕がある時ほど、危ない道を避ける」

シオナはその言葉に頷いた。

「明日は30km以上出さない。ふたついまで行って、路面と天気を見る。大館へ進むかどうかは、その後」

「了解……じゃなくて、分かった」

サヤがまた自分で言い直した。

ミズホが笑った。

「もうそれ、癖になってる」

「神町の名残だね」

シオナは窓の外を見た。

東京を出た頃、自分はここまで地図を読むようになるとは思っていなかった。

道を選ぶことは、ただ目的地へ向かうことだと思っていた。

今は違う。

道を選ぶことは、引き返せる余地を残すこと。

止まれる場所を探すこと。

誰かにつながる可能性を見ること。

そして、90式を無事に次の朝まで連れていくことだった。

サヤが布団を広げながら言った。

「じゃあ明日は、まずふたつい」

ミズホが答える。

「まずふたつい」

シオナも静かに言った。

「まず、道の駅ふたつい」

その夜、三人は能代のホテルで眠った。

沿岸へは出ない。

海風の一本道には入らない。

国道7号線をたどり、大館へ向かう。

その第一歩として、明日は道の駅ふたついを目指す。

地図の上で選んだその線は、遠回りに見えた。

だが、今の三人には、それがいちばん進むための道に見えていた。

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財団法人はるな会

人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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