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雪ちらつく7号線

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/28 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 3,657文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

翌朝の能代は、薄く雪が舞っていた。

吹雪ではない。

風もない。

ただ、空から細かな雪が静かに落ちてくるだけだった。

ホテルの窓からそれを見たサヤは、少し首をかしげた。

「これは……行ける雪?」

ミズホは窓の外と地図を交互に見た。

「風がない。視界もある。路面確認をしながらなら、問題ないと思う」

シオナはすでに出発準備を始めていた。

「まず道の駅ふたついまで。そこで大館方面の道路状況を見て、進むか決める」

「まずふたつい」

サヤが昨日の言葉を繰り返した。

「うん。まずふたつい」

三人は簡単な朝食を済ませ、ホテルの低い階から荷物を運び出した。前日に補給した食料と医療品、カイロ、乾いた手袋を確認する。能代の大型スーパーとドラッグストアで得たものは、外部ラックと車内の収納に分けて積み直してあった。

90式は駐車場の端で、うっすら白くなっていた。

シオナは車体の前に立ち、息を吐いた。白い息がすぐに消える。

「除雪、軽めで済みそう」

サヤがブラシを手に取る。

「昨日よりずっと楽」

ミズホは濡れ物箱の蓋を確認した。

「蓋、凍りつきなし。外部ラックも見た感じ大丈夫」

シオナは教本で覚えた順に確認していく。

ハッチ周り。

視界装置。

砲口カバー。

外部ラック。

濡れ物箱。

履帯周り。

燃料漏れ。

異音の有無。

秋田駐屯地で満タンにしてもらった燃料は、ここまで問題なく使えている。けれど、シオナはもう「入っているから大丈夫」とは考えなかった。

見る。

聞く。

疑う。

それから進む。

点検を終えると、三人は90式に乗り込んだ。

シオナは操縦席で前方を確認した。

「出発する」

90式は、雪のちらつく能代をゆっくり離れた。

国道7号線は、静かだった。

路肩には雪が残っている。

田畑も屋根も白い。

けれど、風がないだけで道の印象はまったく違った。

日本海側の吹雪のように、突然視界を奪われる感じはない。空は暗いが、遠くの道路標識も、前方のカーブも見える。

シオナは30km/hを超えなかった。

見通しの良い場所でも、速度を抑える。

橋の手前ではさらに落とす。

交差点や放置車両のそばでは、サヤの確認を待つ。

サヤは車長ハッチ側で短く外を見ていた。

「前方、車両なし。路肩に雪。右側、建物あり。道は通れる」

ミズホは地図を見ながら答える。

「このまま東へ。道の駅ふたついまで、距離は長くない」

サヤが外を見たまま言った。

「昨日、沿岸に行かないって決めておいてよかった気がする」

「どうして?」

ミズホが聞く。

「この雪でも、ここはなんか落ち着いてる。海沿いだったら、今ごろまた白い壁が来るんじゃないかってずっと構えてたと思う」

シオナは前を見たまま、少しだけうなずいた。

「私もそう思う」

海沿いを避けた。

それは怖がったからではない。

ここまでの旅で、何が危ないかを知ったからだった。

しばらく走ると、道の駅ふたついの案内が見えてきた。

広い敷地。

雪をかぶった建物。

駐車場には数台の車が残っていたが、出入りできる余地はあった。

シオナは駐車場の端に90式を停めた。

「停止。確認する」

三人は外へ出た。

雪はまだちらついているが、作業を妨げるほどではない。息は白く、手袋越しでも冷たさは伝わってくるが、にかほや西目のような暴力的な雪ではなかった。

道の駅の建物は閉まっていた。

だが、入口付近には最近誰かが出入りしたような跡があった。雪の上にうっすら残った足跡。扉の脇に置かれた簡単な木札。中に入ると、壁に手書きの道路情報が貼られていた。

ミズホがすぐに近づく。

「道路状況……」

そこには、日付こそ曖昧だが、比較的新しい文字でこう書かれていた。

能代方面、通行可。

大館方面、国道7号線は一部凍結あり。大型車通行注意。

二ツ井より東、放置車両は路肩へ移動済み。

鷹巣方面、除雪痕跡あり。

大館市中心部、到達可能。

ただし夕方以降の移動は避けること。

サヤは声を落とした。

「大館まで、つながってる」

シオナはその文字をじっと見た。

大館市中心部、到達可能。

ただの道路情報だった。

けれど今の三人には、地図の上の線が現実につながったように見えた。

ミズホはノートに写し取った。

「この情報がいつのものかは分からない。でも足跡と掲示の状態を見る限り、かなり古いものではなさそう」

シオナは窓の外を見た。

雪は弱い。

風もない。

時刻はまだ昼前。

「大館まで行けると思う」

サヤが確認するように聞いた。

「今日中に?」

「うん。ここからなら、夕方までには中心部へ入れる」

ミズホは地図を確認した。

「途中で鷹巣方面を通る。大きく寄り道しなければ行ける。ただし、暗くなる前に到着すること。途中で雪が強くなったら止まる」

シオナはうなずいた。

「そこは変えない。行けるところまでじゃなくて、止まれるところまで進む」

サヤは少し笑った。

「それ、今の私たちの標語だね」

道の駅で、三人は少し休憩を取った。

温かい飲み物を作り、手袋を乾いたものへ替え、90式のハッチ周りと履帯を確認する。外部ラックの固定も問題ない。濡れ物箱も凍っていない。

ミズホは道の駅の掲示板に、自分たちの情報を残した。

能代方面より到着。

秋田駐屯地、にかほ、庄内、神町方面の生存確認あり。

90式で大館方面へ向かいます。

沿岸101号線は現時点で選択せず、国道7号線を使用。

サヤがそれを見て言った。

「誰かが読むかな」

ミズホはペンをしまいながら答えた。

「読むかもしれない。読まなくても、ここに情報が増える」

シオナは道の駅の外で、東へ伸びる国道を見た。

「行こう」

三人は再び90式へ乗り込んだ。

道の駅ふたついを出てから、国道7号線は少しずつ内陸の表情を強めた。

海の気配は薄れ、雪をかぶった山並みや川、集落が見える。道幅は十分にあり、ところどころに除雪された跡が残っていた。

誰かが通っている。

誰かが道を守ろうとしている。

それだけで、シオナの手元は少しだけ落ち着いた。

サヤが外を確認する。

「左側、放置車両一台。でも路肩に寄せられてる。通れる」

ミズホが言う。

「掲示の通りだね。大館方面、完全に放棄されてはいない」

シオナは速度を落としてその車両の横を通過した。

「誰が寄せたんだろう」

サヤが呟く。

ミズホは窓のない車内で地図を見ながら答えた。

「地元の人か、道路管理の残った人か、自衛隊か。分からないけど、少なくともこの道を使おうとしてる人がいる」

それは大きかった。

旅を続けていると、無人の建物や止まった信号、閉じた店舗ばかりを見る。けれど、路肩へ寄せられた車両や、雪の上に残る作業跡は違う。

そこには、人の意思があった。

昼を過ぎても、雪はちらつく程度だった。

三人は途中で一度停車し、簡単な食事と点検をした。秋田で満タンにした燃料にはまだ余裕がある。能代で補給した食料もある。医療品も整理済み。ワークマン由来の防寒具と、能代で追加したカイロが頼もしかった。

サヤはカイロを手袋の中で軽く握りながら言った。

「カイロ、偉い」

ミズホが答える。

「今日は本当に偉い」

「ミズホが認めた」

「寒い時の熱源は全部偉い」

シオナは外部ラックを確認しながら少し笑った。

「じゃあ90式も偉いね」

サヤは車体をぽんと叩いた。

「かなり偉い」

その後も、90式はゆっくり東へ進んだ。

鷹巣方面を抜け、大館へ近づくにつれ、建物が増えていく。道路沿いの店舗、住宅、公共施設の案内。雪に埋もれた看板。止まった信号。

しかし、ここにも人の手の跡があった。

交差点の雪が寄せられている。

道路脇に簡易の案内板がある。

一部の建物の前には、最近使われたような足跡が残っている。

ミズホがノートに書いた。

「大館市域接近。道路整理痕跡あり。生活痕跡あり」

サヤは外を見ながら言った。

「完全に無人じゃないね」

「うん」

シオナは速度をさらに落とした。

「中心部に入る前に、止まれる場所を探す」

夕方が近づいていた。

空は暗くなり始めているが、まだ視界はある。

大館市中心部の標識が見えた時、三人はしばらく黙った。

能代からここまで、今日は進めた。

にかほや西目で何度も止められた日本海側の雪とは違い、国道7号線は三人を大館まで通してくれた。

サヤが小さく言った。

「大館まで来たんだ」

ミズホは地図を閉じた。

「夕方前。予定通り」

シオナは前方の市街地を見た。

「ここからはまた別。市街地だから、慎重に行く」

90式は大館市中心部へ、ゆっくりと入っていった。

雪はまだ、ほんの少しだけ舞っている。

けれど風はなく、道は見えている。

まずは中心部にたどり着く。

そのあと、どこに人がいるのか、どこで泊まれるのか、どの道が弘前へつながるのかを探す。

その時、サヤが前方の案内板を見て、少し首を傾げた。

「ねえ、秋田犬って書いてある」

ミズホが地図から顔を上げた。

「大館は秋田犬で有名だから」

「へえ……」

シオナはその言葉を聞きながら、まだ何も言わなかった。

ただ、胸の奥で、遠い東京の風景が一瞬だけ揺れた。

草に覆われた渋谷。

動物たちに囲まれたハチ公像。

ツタに包まれ、森の守り神のように立っていた犬の姿。

まだそれが何につながるのか、シオナ自身にも分からなかった。

90式は夕方の大館市街を、ゆっくり進んでいった。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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