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つがる温泉の灯

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/29 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 3,270文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

大鰐町地域交流センターでの昼食と情報交換を終えたあと、三人は再び90式に乗り込んだ。

弘前市街には入らない。

国道7号線をそのまま北上せず、途中で国道102号線へ振る。

道の駅いなかだてを確認地点にし、そこから県道13号線で浪岡方面へ抜ける。

大鰐の自衛隊側も、その案を否定しなかった。

ただし、条件付きだった。

「田んぼの中の道は甘く見ないでください」

現場指揮官はそう言った。

「市街地を避けるにはいい道です。ですが、風が出ると路肩も用水路も分からなくなる。90式なら雪は踏めるでしょうが、道路そのものを外したら厄介です」

シオナはその言葉を頭に入れていた。

90式は大鰐を出て、国道7号線に戻り弘前市街地の外縁部で国道102号線へ入った。

最初のうちは、道は穏やかだった。

雪は舞っているが、風はまだ弱い。弘前市街へ向かう重い空気から少し離れたことで、サヤも少し息をついた。

「市街を避けられてるって思うだけで、ちょっと楽だね」

ミズホは地図を見ながら答えた。

「でも、この先は田園地帯。風が強くなると別の怖さがある」

「街は人で詰まる。田んぼは雪で道が消える」

「そういうこと」

シオナは前方を見たまま言った。

「どこも簡単じゃないね」

それでも、しばらくは進めた。

黒石方面へ向かう道。

雪をかぶった家々。

遠くに見える田んぼ。

閉まった店舗。

除雪された跡のある交差点。

道の先に、弘前市街の混乱は見えない。

だが、見えないから安全というわけでもなかった。

次第に風が出てきた。

最初は、雪が横に流れる程度だった。

だが、広い場所へ出るにつれて、白い粒が道路の上を走るようになった。路肩の境目がぼやけ、遠くの建物も薄い白に滲んでいく。

サヤがハッチから外を確認して、すぐに戻った。

「風、出てきた。見えるけど、さっきより白い」

ミズホが地図を見る。

「道の駅いなかだてまでは、まだ少しある」

シオナは速度を落とした。

「無理しない」

「どうする?」

サヤが聞く。

「止まれる場所を探す」

その判断は早かった。

道の駅いなかだてまで行けるかもしれない。

だが、行けるかもしれないで進まない。ここまで何度も学んだことだった。

しばらく進むと、道路沿いに温泉施設の看板が見えた。

つがる温泉。

宿泊施設もあるらしい。

建物は雪の向こうに見える。駐車場も広い。

シオナはすぐに判断した。

「今日はここに入る」

サヤは少しほっとしたように言った。

「賛成」

ミズホも頷いた。

「道の駅まで押さない方がいい。風が強くなってる」

90式は、つがる温泉の駐車場へゆっくり入った。

駐車場は完全には埋もれていなかった。

車の出入りがあったような跡が残っている。古いものも、新しいものも混じっているように見えた。

建物の前に人影はない。

エンジンを止めると、風の音が急に大きく感じられた。

三人は防寒を整え、最低限の荷物を持って建物へ向かった。

玄関は閉まっていたが、鍵はかかっていなかった。

中に入ると、館内は薄暗い。電気は来ていない。だが、完全に放置された匂いではなかった。

床は比較的きれいだった。

入口付近には雪の跡があり、まだ乾ききっていない。

受付の横には、手書きの紙が貼られていた。

大浴場利用時の注意。

湯船の温度確認。

蛇口使用後は閉めること。

燃料・水の無駄遣い禁止。

入浴後は浴場入口の札を戻すこと。

使える部屋は二階の一部。

ストーブ使用時は換気確認。

サヤが紙を読んで、声を落とした。

「人、いるんじゃない?」

ミズホは床の跡を見た。

「少なくとも、今日の昼間には誰かが使ってる」

シオナは館内を見回した。

「でも今はいない」

「避難所っていうより、共同で使う場所なのかも」

ミズホが言った。

「必要な時に来て、風呂に入って、暖を取って、帰る。常駐はしていない」

三人は大浴場を確認した。

脱衣所には人の気配が残っていた。

湿ったタオルの跡。

桶の位置。

使われた形の椅子。

そして湯船には、まだ湯が残っていた。

完全に冷めてはいない。

湯気は弱いが、手を入れると温かさがある。

サヤの顔が少し明るくなった。

「入れる」

ミズホは注意書きを確認する。

「使い方も書いてある。無理に新しく沸かすより、今ある湯を使わせてもらう方がよさそう」

シオナは頷いた。

「先に部屋を決めよう。荷物を置いて、暖を取る」

二階の一部屋が使えるようになっていた。

和室ではないが、宿泊用の部屋だった。

布団があり、毛布があり、窓も無事。部屋の隅にはストーブが置かれていた。燃料も少し残っている。

ミズホは説明書きを見つけた。

「換気して使えば大丈夫そう。長時間つけっぱなしにはしない」

サヤは窓の外を見た。

「外、白くなってきた」

風雪はさっきより強くなっている。

道路はまだ見えるが、遠くの景色はかなり白く霞んでいた。

シオナは窓から90式を確認した。

駐車場の端に停めた車体は、もう薄く雪をかぶり始めている。

「ここで止まって正解だった」

ミズホは静かに答えた。

「うん。道の駅まで行けたかもしれないけど、行かなくてよかった」

サヤは荷物を置き、ストーブのそばに手をかざした。

「今日の目標は、無事に止まることだったってことだね」

「そう」

シオナは短く言った。

三人は濡れた上着と手袋を確認し、部屋の中に広げて乾かした。濡れ物箱に入れていたものも必要分だけ取り出す。ストーブの火が入ると、部屋の空気は少しずつやわらかくなった。

夕食は手持ちの食料で済ませた。

パックご飯。

缶詰。

味噌汁。

大鰐で分けてもらった漬物。

温かい茶。

サヤは椀を持って、壁の注意書きを眺めた。

「ここ、誰が管理してるんだろうね」

ミズホは答えた。

「田舎館村の人か、黒石方面の人か、周辺の集落の人か。少なくとも、使うルールを残している人がいる」

シオナは頷いた。

「人がいなくても、使い方が残ってる」

「それも人の気配だね」

サヤが言った。

夕食の後、三人は大浴場に向かった。

館内は暗い。

ライトを持って廊下を歩く。

風の音が建物の外で鳴っている。温泉施設の中にいるのに、外の雪がすぐそばにあるようだった。

大浴場の湯は、少しぬるくなっていたが、体を温めるには十分だった。

三人は注意書きの通り、無駄に水を使わず、湯の温度を確認してから入った。

サヤは湯船に浸かりながら息を吐いた。

「今日は本当に、温泉に助けられてる」

ミズホが答える。

「この辺りの人も、そうやって使ってるんだと思う」

シオナは湯面を見つめた。

「弘前を避けて、ここに来た。街を避けたら田んぼの雪に止められた」

サヤが少し苦笑する。

「どこも一筋縄じゃないね」

「でも、止まれる場所があった」

ミズホは静かに言った。

「それが大事」

風呂から上がると、三人は丁寧に後始末をした。

桶を戻し、蛇口を確認し、入口の札を戻す。

誰かが書いた使い方を、次の誰かのために守る。

それは小さなことだった。

だが、終末後の世界では、そういう小さな決まりが場所を生かしているのだと感じた。

部屋に戻ると、ストーブの熱が残っていた。

外は完全に風雪になっていた。

窓の向こうは白く、駐車場の90式も輪郭が少しぼやけている。

サヤは布団を敷きながら言った。

「道の駅いなかだては明日だね」

ミズホは地図を広げ、今日の進行を記録した。

大鰐出発。

国道102号線へ。

弘前市街回避。

風雪強まる。

つがる温泉へ投宿。

常駐者なし。日中利用痕跡あり。大浴場利用可能。部屋にストーブあり。

シオナは窓の外を見ていた。

「明日の朝、90式は真っ白だね」

サヤが返す。

「共同除雪だね」

ミズホが念を押す。

「一人で雪まみれにならない」

「分かってる」

シオナはすぐに答えた。

サヤが少し笑った。

「学習してる」

「してる」

三人は布団に入った。

部屋のストーブは火を弱め、換気を確認してから止める。

毛布と防寒具を重ねれば、眠るには十分だった。

外では風が鳴っている。

田んぼの道は、今ごろ白く消えているのかもしれない。

弘前市街は、その向こうで沈黙している。

浪岡へ戻る道は、まだ明日の空の下にある。

つがる温泉には人はいなかった。

けれど、湯があり、使い方があり、部屋があり、ストーブがあった。

誰かがここを残していた。

三人は、その残された温もりを借りて、夜を明かした。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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