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浪岡の避難拠点

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/30 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 2,789文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

つがる温泉を出た三人は、国道102号線から県道13号線へ入り、北へ向かった。

朝の雪は止んでいた。

空は低く、灰色の雲が重く垂れている。風は弱まっていたが、田んぼの上にはところどころ白い雪煙が流れていた。

シオナは速度を上げなかった。

田園地帯の道は、見通しがいい。

だからこそ怖かった。

道路の端がどこまでなのか、雪で分かりにくい。

その向こうは田んぼなのか、用水路なのか、ただの路肩なのか、遠目には見えない。

サヤは短く外を確認しては、すぐにハッチを閉じた。

「右側、吹き溜まり。道は通れるけど、端が分かりにくい」

ミズホは地図を見ながら言った。

「このまま北上。浪岡駅の方へ出る。国道7号線にはその近くで戻れるはず」

シオナは前方を見たまま頷いた。

「弘前は避けられた。でも、ここから先は青森市の影響圏」

「うん」

ミズホの声も少し低かった。

青森市。

新幹線で首都圏方面から人が入り、感染が広がった可能性が高い場所。

弘前とは別の形で、重い空白を抱えた街。

サヤが言った。

「今日は浪岡で止まるんだよね」

「そのつもり」

シオナはそう答えた。

「国道7号線へ戻れたら十分。夕方に青森市へ近づかない」

県道13号線を北上していくと、建物が少しずつ増え始めた。

浪岡駅周辺へ近づいている。

その時、前方で車両の動きが見えた。

四輪駆動車。

小型トラック。

自衛隊車両らしい車も混じっている。

何台かが道路脇からゆっくり動き出し、同じ方向へ向かっていた。

サヤが声を上げた。

「前方、車両あり。複数。動いてる」

ミズホが地図を見た。

「浪岡庁舎か、公民館の方かも」

シオナはすぐに速度を落とした。

「近づきすぎない。相手の反応を見る」

90式の存在に、先頭の車両が気づいた。

動きが止まり、少し離れた位置で人が降りてくる。

警戒はしている。

当然だった。

シオナは90式を道幅に余裕のある場所で止めた。エンジンは落とさず、しかし動かない。サヤがハッチから顔を出し、両手を見える位置にした。

「南から来ました。大鰐方面からです」

相手側の一人が近づいてきた。防寒着の上に腕章をつけている。行政関係者のようにも、自衛隊の連絡員のようにも見えた。

少し離れたところから、自衛官もこちらを見ている。

「大鰐から?」

その男が聞いた。

シオナはハッチから顔を出した。

「はい。大鰐町地域交流センターで弘前駐屯地から撤退した方々と情報交換しました。弘前市街を避けるため、国道102号線から県道13号線で浪岡へ出てきました」

その言葉で、相手の表情が変わった。

「大鰐の拠点と会ったんですね」

ミズホが記録ノートを掲げた。

「神町、舟形、庄内、秋田、大館、大鰐までの情報があります。浪岡で状況確認をしたいです」

腕章の男は少し考え、後方の自衛官と短く話した。

やがて戻ってきて言った。

「青森市役所浪岡庁舎と浪岡中央公民館を中心に、避難者の受け入れと連絡拠点を作っています。ついて来てください。駐車位置はこちらで案内します」

サヤが小さく息を吐いた。

「よかった。話せる人たちだ」

シオナは頷いた。

「ついて行く」

90式は車列の最後についた。

前を走る車両は、雪の残る道をゆっくり進んだ。

シオナも距離を取り、慎重に続く。

浪岡駅周辺は、完全な無人ではなかった。

閉まった店は多い。

信号はほとんど死んでいる。

だが、道路には除雪跡があり、建物の前には足跡があり、ところどころに手書きの案内板が立っている。

青森市役所浪岡庁舎。

浪岡中央公民館。

避難者受付。

物資搬入。

医療相談。

青森市街方面、単独進入禁止。

サヤはその文字を見て、声を落とした。

「青森市街から逃げてきた人たちがいるんだ」

ミズホは窓の外を見ながら言った。

「中心部を避けて、ここに集めてるんだと思う。浪岡なら青森市中心部から距離があるし、弘前方面ともつながる」

地域の中心部に近づくと、人が増えた。

避難者らしい人。

役場職員。

自衛官。

消防関係者。

医療職らしい腕章をつけた人。

そして、その中に90式が入ってきた。

当然、全員が見る。

サヤが小声で言った。

「毎回思うけど、目立つね」

ミズホが返す。

「目立たない90式はない」

「それはそう」

案内された場所は、浪岡中央公民館の近くの広い一角だった。

駐車場の一部が車両置き場になっており、自衛隊車両や行政車両が並んでいる。三人の90式は、その端に誘導された。

エンジンを止めると、周囲のざわめきが聞こえた。

東京から来たらしい。

大鰐を通ってきた。

弘前を避けて来た。

戦車だ。

でも女の子が乗っている。

そんな断片が耳に入る。

三人は車体を降り、案内役に従って庁舎側へ向かった。

中では、すぐに情報交換の場が設けられた。

大きな机に地図が広げられている。

青森市中心部、浪岡、弘前、大鰐、黒石、国道7号線、国道102号線。

赤い線、青い線、通行可、未確認、危険、避難者流入。

浪岡側の担当者は、三人の話を真剣に聞いた。

神町駐屯地が残っていること。

舟形や庄内の共同体。

にかほ、秋田駐屯地、大館、矢立峠。

大鰐で聞いた弘前の状況。

そして、三人が大湊を目指していること。

浪岡側の自衛官が、その言葉に反応した。

「大湊へですか」

シオナは頷いた。

「はい。ここまで来たなら、太平洋側や下北方面の状況とつなげたいんです」

担当者は地図を見た。

「青森市中心部へ入るのは勧めません。避難者の話では、駅周辺と新青森方面、港側、県庁周辺はかなり厳しい。浪岡は青森市街からの受け入れ地点として維持していますが、中心部との往来は制限しています」

ミズホが尋ねた。

「国道7号線で青森市方面へ進むのは?」

「中心部に近づくほど難しくなります。むつ方面へ抜けるなら、ここで一度止まって、青森市街を避ける経路を検討した方がいい」

サヤは椅子に座ったまま、肩の力を抜いた。

「今日はここで止まっていいですか」

担当者はすぐに頷いた。

「避難所の一角を使ってください。客人というより、情報を持ってきてくれた連絡者として扱います。食事も一緒にどうぞ」

その日の投宿先は、浪岡中央公民館の一角になった。

大部屋の隅に、三人分のスペースを作ってもらう。

布団ではなく、マットと毛布。

暖房は弱いが、つがる温泉の無人の部屋とは違い、人の声がある。

サヤは荷物を置いて、周囲を見た。

「人が多いと、安心するけど、ちょっと怖くもあるね」

ミズホは静かに言った。

「うん。ここは避難者の場所だから。青森市街から来た人もいる」

シオナは窓の外を見た。

駐車場の端に、90式が停まっている。

その周囲を、何人もの人が遠巻きに見ている。

東京で見つけた90式。

神町で整備され、秋田で燃料をもらい、大館でハチ公の故郷を見て、矢立峠を越え、大鰐を経て、浪岡まで来た。

ここでまた、道がつながった。

三人はその夜、浪岡の避難拠点で過ごすことになった。

弘前を避ける迂回は成功した。

だが次は、青森市そのものをどう避けるか。

大湊への道は、まだもう一つ大きな空白を抱えていた。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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