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青森中央インターのコーヒー

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/30 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 3,463文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

翌朝の浪岡は、低い雲に覆われていた。

雪は降っていない。

風も昨日ほどではない。

ただ、空気は冷たく、避難所の窓から見える道路には夜のうちに固まった雪が薄く残っていた。

青森市役所浪岡庁舎と浪岡中央公民館の周辺では、朝から人が動いていた。避難者への食事の配分、車両の確認、青森駐屯地との連絡、周辺の道路状況の整理。

三人も朝食を受け取り、避難者たちと同じ場所で食べた。

サヤは椀を両手で包みながら言った。

「避難所の朝って、なんか学校の合宿みたいな空気もあるね」

ミズホは周囲を見た。

「でも、みんな顔が疲れてる」

「うん」

シオナは黙って食べていた。

今日は青森自動車道を使う。

浪岡から青森中央まで。

青森市街の中心には入らず、確認済みの区間を通って青森駐屯地側へ近づく。

前の晩には、浪岡側から誘導車を出す話もあった。

だが朝になって状況が変わった。

青森市街方面へ向かう車両の予定がなかったのだ。

浪岡の担当者は申し訳なさそうに言った。

「今日は、そちらの90式に合わせて出せる車両がありません。青森駐屯地との連絡も取れていますが、こちらから同行は難しいです」

シオナは地図を確認した。

「浪岡インターから青森中央インターまでの安全確認は、昨日の情報から変わりありませんか」

「はい。その区間は使用しています。入口と出口も、広い通行経路を使えます。料金所の狭いレーンを通る必要はありません」

ミズホが念を押す。

「青森中央インターを降りた後は?」

「降りてからは、青森駐屯地方面へ進むか、周辺で一度停車して連絡を取ってください。中心部へは無理に入らないでください」

サヤが小さく言った。

「単独かあ」

シオナは少しだけ考えたが、すぐに頷いた。

「行きます。天候も悪くない。確認済みの区間なら、単独でも進めます」

ミズホも同意した。

「浪岡で止まり続けても、青森側の情報は増えにくい。青森中央まで行って、そこで判断しよう」

サヤは深く息を吐いた。

「じゃあ、今日も安全運転で」

「いつも通り」

シオナはそう言って、立ち上がった。

三人は避難所の人たちに礼を言い、90式へ向かった。

駐車場の端に停めていた90式は、薄く雪をかぶっているだけだった。三人は手早くハッチ周りと視界装置、外部ラック、濡れ物箱、履帯周りを確認した。

サヤが声をかける。

「外部ラック、固定よし」

ミズホが続ける。

「濡れ物箱、凍結なし。荷物も問題なし」

シオナは車体前方を確認し、最後に深く息を吸った。

「出発する」

90式のエンジン音が、浪岡の避難拠点に低く響いた。

何人かの避難者が、遠巻きに見送っていた。

子どもが手を振る。サヤがハッチから小さく手を振り返す。

シオナはゆっくり車体を動かした。

県道285号線を北上する。

浪岡の町を抜け、浪岡インターへ向かう道は、思ったより静かだった。道路には除雪跡があり、凍った部分もあるが通行は可能だった。シオナは速度を上げず、慎重に進む。

サヤは外を確認しながら言った。

「前方、インター案内。道は通れる」

ミズホが地図を見る。

「このまま浪岡インター。青森自動車道へ」

高速道路の入口に近づくと、通常の料金所レーンとは別に、管理用の広い通行経路が開けられていた。昨日聞いた通りだった。

シオナはそこを選んで通った。

「擦らない」

サヤが真顔で言った。

ミズホが答える。

「重要」

シオナも短く返した。

「本当に重要」

青森自動車道に入ると、道は広がった。

広い。

見通しがいい。

だが、車がほとんどないせいで、逆に非現実的だった。

高速道路とは、車が流れているから高速道路なのだと、シオナは思った。

誰も走っていない高規格道路は、巨大な人工の川が干上がった跡のようだった。

路肩には除雪跡があった。

中央分離帯付近にも雪が残っている。

ところどころに、管理車両が通った跡がある。

サヤが外を見た。

「ほんとに車、ないね」

ミズホは地図と周辺を見比べる。

「確認済み区間だから、処理されたんだと思う。浪岡と青森駐屯地をつなぐために」

シオナは前方を見たまま言った。

「神町ほど広くは支えられない。でも、この線は守ってる」

「線を守る」

サヤが繰り返した。

「そう考えると、すごく大事な道なんだね」

90式は、青森自動車道をゆっくり進んだ。

速度は高速道路らしくない。

けれど、今の90式にとってはそれでよかった。

急がない。焦らない。止まれる余裕を残す。

やがて、青森中央インターの案内が見えた。

シオナは出口へ向かった。

ここも管理用の広い通行経路が確保されていた。通常の料金所を無理に通る必要はない。90式は何も壊さず、何にも擦らずにインターを抜けた。

サヤが小さく拍手した。

「無傷通過」

ミズホが淡々と言う。

「施設損傷なし」

シオナは少しだけ笑った。

「よかった」

青森中央インターを降りると、周囲にはロードサイドの店が並んでいた。

もちろん、どれも営業はしていない。

看板は雪と風で汚れ、駐車場は白くなっている。

だが、建物は残っている。

その中に、見慣れた緑の看板があった。

サヤが声を上げた。

「スタバ」

シオナも見た。

「スタバだ」

ミズホは地図から顔を上げた。

「寄るの?」

サヤは即答した。

「寄ろう」

シオナも少し考えたが、頷いた。

「青森中央まで来た。ここで一度止まって連絡と周辺確認。コーヒーも見られるなら見たい」

ミズホは小さく笑った。

「理由が後からついてきた」

「半分は本気」

「残り半分は?」

サヤが答える。

「コーヒー」

90式はスタバの駐車場へ入った。

広く、見通しもいい。建物から距離を取り、出入口を塞がない位置に停める。

三人は周囲を確認してから店内へ入った。

店内は冷え切っていた。

だが、荒らされ尽くした様子ではない。棚には使えるものが少し残っている。豆を挽く設備や冷蔵品はもう無理だが、パックのインスタント、紙カップ、砂糖、スティック類なら回収できそうだった。

サヤは棚を見て目を輝かせた。

「コーヒー文明が残ってる」

ミズホが在庫を確認する。

「持ち出す分は必要最低限。避難所や青森駐屯地にも使えるかもしれない」

シオナはカウンターの奥を見ていた。

「ここも、人が働いていた場所なんだよね」

椅子は整ったまま。

メニュー表もそのまま。

窓際の席には、誰かが最後に置いていった紙ナプキンが残っている。

首都圏の店で見た終末の気配とは少し違う。

ここは、急に閉じられて、そのまま冬に包まれたようだった。

三人が店内を確認していると、シオナのバッグに付けている無線機から音が入った。

最初は雑音だった。

サヤが顔を上げる。

「今の、無線?」

シオナがすぐに、無線機を手に取る。

「受信してる」

無線には断続的な声が入っていた。

弱い。

だが、言葉は聞き取れる。

『こちら……青森港……国際クルーズターミナル……停泊中……医薬品……不足……繰り返す……医薬品を求む……』

シオナは息を止めた。

ミズホが周波数を調整する。

声が少しだけ明瞭になる。

『……フェリー船内にて自主隔離継続中……発症者は分離済み……慢性疾患薬、解熱鎮痛薬、消毒薬、抗生剤相当品……不足……青森市内への上陸は最小限……応答求む……』

サヤが小さく言った。

「フェリー?」

ミズホは表情を引き締めた。

「青森港国際クルーズターミナルに、自主隔離的に停泊してるフェリーがある。医薬品を求めてる」

シオナは青森市街の方角を見た。

青森市中心部には無理に入るなと言われている。

だが、青森港はその向こうにある。

そして今、そこから助けを求める声が届いている。

サヤは不安そうに言った。

「行くの?」

シオナはすぐには答えなかった。

大湊へ向かう道。

青森駐屯地から聞くべき情報。

避けるべき青森市中心部。

そして、港にいるフェリーからの医薬品要請。

ミズホが静かに言った。

「まず応答しよう。こちらの位置と状況を伝える。それから青森駐屯地にも連絡を取る。単独で港へ向かう判断はしない」

シオナはうなずいた。

「そうする」

サヤは無線機を見つめた。

「コーヒー補給のつもりが、急に話が大きくなったね」

シオナは無線機のマイクを取った。

「こちら、青森中央インター付近。浪岡から来た移動車両。青森港国際クルーズターミナルの送信を受信しました。医薬品要請を確認。現在、青森駐屯地との連絡を取る予定です。状況を再送してください」

雑音の向こうで、少し間があった。

そして、かすれた声が返ってきた。

『……応答を確認……こちら、青森港停泊中フェリー……』

スタバの駐車場で、90式の無線が新しい道を開いた。

弘前を避け、青森市街も避けるはずだった三人は、青森港からの声を聞いた。

大湊へ向かう前に、青森でやるべきことが一つ増えようとしていた。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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