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大湊へ向かう道

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/30 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 2,644文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

ホテルの一室で夜が更けていく。

三人はシャワーで念入りに洗い、病院と薬局、港で使った装備を分け、汚れたものを袋に封じた。

それでも、すぐに眠る気にはなれなかった。

青森港のフェリーとは、青森駐屯地を交えた定時通信が始まっていた。

医薬品は無事に船内へ入り、船側は発熱者区画と無症状区画の分離を続けている。青森駐屯地も、船内の症状が落ち着いたのち、人員を調整して接触する方針を伝えていた。

ミズホは体温計を見て、記録をつけた。

「三人とも今のところ異常なし。喉、咳、寒気、だるさもなし」

サヤはベッドに腰かけたまま、肩を落とした。

「よかった……と言いたいけど、まだ一晩だもんね」

「うん。明日の朝も見る」

シオナは窓の外を見た。

青森市の夜は暗い。だが完全な闇ではない。どこかに非常用電源の光があり、遠くの建物に薄い灯りが残っている。

「明日、青森駐屯地には行かない」

サヤとミズホが顔を上げた。

シオナは続けた。

「物資は足りてる。燃料もある。90式の状態も問題ない。青森駐屯地に行けば、情報は得られるかもしれないけど、今の私たちが入る必要は薄い」

ミズホは少し考えた。

「病院と港に行ったあとだし、駐屯地側に接触リスクを持ち込まない意味でも、その方がいいかもしれない」

サヤは地図を開いた。

「じゃあ、このまま国道で大湊?」

シオナはうなずいた。

「青森市中心部に入らず、国道4号か、通れる道を見ながら野辺地方面へ出る。そこからむつ、大湊へ」

「不確定だね」

「うん。不確定」

その時、無線が入った。

フェリーからだった。

『こちら、青森港停泊中フェリー。定時連絡です。船内の発熱者は現在も分離中。重篤な急変はありません。医薬品は分類表に従って配布を始めています』

ミズホが応答した。

「こちら90式の三名。了解しました。解熱薬の使いすぎには注意してください。高熱が続く人、息苦しさのある人、脱水のある人を優先して記録してください」

『了解しました。それと、ひとつ報告したいことがあります』

シオナが無線機に近づく。

「どうぞ」

『我々が青森港へ入る前の夜間、沖合から大湊方面を見た時、広い範囲で明かりが見えました』

三人は黙った。

サヤが小さく言った。

「大湊方面で……明かり」

フェリー側の声が続く。

『正確な位置までは分かりません。下北半島方面、むつ湾奥側と見られる方向です。都市の通常照明ほどではありませんが、港湾施設か基地、あるいはまとまった拠点の灯りのように見えました。少なくとも完全な暗闇ではありませんでした』

シオナは地図の大湊を見た。

大湊。

ここまで三人が目指してきた場所。

ミズホは冷静に確認した。

「それは、青森港に入る前の夜ですね」

『はい。洋上待機中です。青森市街はほとんど沈黙していましたが、大湊方面には明かりがありました』

「記録します。ありがとうございます」

青森駐屯地も同じ周波数で聞いていた。

『こちら青森駐屯地。今の報告、こちらでも確認しました』

シオナはマイクを取った。

「青森駐屯地、そちらでは大湊方面との連絡はありますか」

少し間があった。

『ありません。現在、こちらは三沢、八戸、大湊のいずれとも確実な連絡は取れていません』

サヤの表情が曇る。

「連絡、ないんだ」

無線の声は続いた。

『第9師団側も人員が減っており、青森駐屯地と浪岡を結ぶ線の維持が限界です。三沢、八戸方面へも、大湊方面へも偵察を出す余裕がありません。野辺地方面についても未確認区間が多い』

ミズホが地図に書き込む。

三沢、連絡なし。

八戸、連絡なし。

大湊、連絡なし。

野辺地方面、未確認。

青森駐屯地の声は、そこで少しだけ重くなった。

『正直に言えば、こちらとしてはあなた方が通ってきた確実なルートと、今回のフェリーへの対応を優先せざるを得ませんでした。浪岡、青森中央、青森港。そこをつなぐだけで手いっぱいです。野辺地方面へ動く余力はありません』

シオナは静かに聞いていた。

責める話ではなかった。

神町も、秋田も、弘前から下がった大鰐も、みんな同じだった。

残った人員で、守れる線を守っている。

全部は見られない。

全部は救えない。

青森駐屯地から、さらに言葉が続いた。

『大湊方面で明かりが見えたというフェリーからの情報は、希望ではあります。ただし、あなた方のルートは不確定です。国道上の放置車両、野辺地周辺の状況、むつ湾沿いの道路、どれもこちらでは確認できていません』

シオナは答えた。

「分かっています。無理に進みません。行けるところまで確認しながら進みます」

『青森駐屯地としては、あなた方に命令はできません。ただ、進むなら、定時連絡を継続してください。野辺地方面で情報が得られれば、こちらにも共有してください』

「了解しました」

ミズホが続けた。

「こちらは明朝、体調確認後に出発判断をします。青森駐屯地には入らず、大湊方面へ向かう可能性が高いです」

『了解しました。こちらもその判断を受け入れます。駐屯地へ立ち寄らないことについても、病院・港対応後の接触リスクを考えれば妥当です』

通信が終わると、部屋は静かになった。

サヤは地図の上に指を置いた。

「明かりがあったんだね」

シオナはうなずいた。

「確実じゃない。でも、完全な暗闇じゃなかった」

「大湊に人がいるかもしれない」

ミズホが言った。

「いる可能性は高くなった。でも、そこまでの道が分からない」

サヤは少し笑った。

「またそれだ」

シオナも地図を見た。

「いつもそれだね。目的地はある。道は分からない」

「でも進む」

「進める時に」

ミズホは体温記録の紙を畳んだ。

「明日の朝、三人とも症状なしなら出発。青森駐屯地には向かわない。青森市中心部を避けて、国道を使って野辺地方面。途中で危険なら止まる」

サヤが確認する。

「大湊方面で明かりが見えたことは希望。でも、確定情報じゃない」

「そう」

シオナは窓の外をもう一度見た。

青森市の暗い夜。

港のフェリー。

浪岡の避難所。

青森駐屯地。

そして、海の向こうで見えたという大湊方面の明かり。

一本の線が、また少しだけ北へ伸びた。

「明日は大湊へ向かう」

シオナはそう言った。

サヤは頷いた。

「うん」

ミズホも静かに答えた。

「まず、朝に体調確認。それから」

その夜、三人は青森市内のホテルで眠った。

青森駐屯地には向かわない。

フェリーとの線はつながった。

駐屯地との定時連絡もある。

そして、大湊方面には明かりが見えたという。

確かなものは少ない。

それでも、進む理由にはなった。

翌朝、三人はまた90式に乗る。

南から北へ伸びてきた道を、今度はむつ湾の方へ向けるために。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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