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横浜寮の食堂

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/31 📚 シリーズ: 終末世界90式の旅 📝 2,979文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

文明崩壊後の世界を90式戦車に乗って見に行こう

本文

横浜吹越方面から国道279号線へ戻った90式は、夕方の光が落ちかけるころ、道の駅よこはまの駐車場へ入った。

雪は降っていない。

けれど風は冷たく、むつ湾の方から来る湿った空気が、車体の上を撫でていく。

シオナは駐車場の端に90式を停めた。

出入口を塞がず、すぐに動かせる向き。

もう何度も繰り返してきた停め方だった。

エンジンを止めると、辺りは急に静かになった。

サヤはハッチから顔を出し、周囲を見回した。

「電気、点いてるね」

道の駅の建物の一部に灯りがある。

強くはないが、非常灯ではない。普通の照明が生きている。

ミズホも外を見た。

「駐車場も、完全には埋もれてない。除雪されてる」

シオナは頷いた。

「誰かが使ってる」

その言葉の通り、しばらくすると人影が現れた。

最初は道の駅の建物の方からではなかった。

少し離れた方角の建物があるあたりから、防寒着姿の人たちが数人、こちらへ歩いてくる。

90式のエンジン音が響いたのだろう。

この静かな町では、戦車の低い音は遠くまで届く。

集まってきた人々は、最初こそ警戒していた。だが、武器を構えるような雰囲気ではない。驚きと困惑の方が強かった。

その中に、腕章をつけた男性と、作業着の上に防寒着を羽織った女性がいた。行政関係者と、電力か原燃関係の人間に見える。

男性が声をかけてきた。

「どちらから来られたんですか」

シオナはハッチから顔を出し、両手を見える位置にした。

「野辺地から来ました。青森市内、浅虫、野辺地を経由して、大湊へ向かっています」

「青森市内から?」

その言葉で、人々の表情が変わった。

女性が一歩前に出る。

「青森市側の状況が分かるんですか」

ミズホが記録ノートを持って降りた。

「浪岡、青森中央、青森港、浅虫、野辺地の情報があります。青森港のフェリーとも連絡をつなぎました。野辺地病院には、青森市内で確保して残っていた医薬品も渡しています」

周囲がざわついた。

青森港。

フェリー。

野辺地病院。

大湊。

横浜町側にとって、それは断片的にしか入っていなかった南側の情報だった。

腕章の男性は、すぐに判断した。

「ここでは寒い。詳しく話を聞かせてください。寮の食堂を使えます。夕食もまだありますから」

サヤが小さく言った。

「寮?」

女性が答えた。

「日本原燃の寮です。今は社員だけでなく、電力関係者、町の職員、連絡員の宿泊場所にもなっています。空き部屋もあります」

シオナは少しだけミズホを見た。

ミズホはうなずいた。

「体調も問題ない。行こう」

三人は90式を駐車場に残し、必要な荷物だけを持って寮へ案内された。

寮の建物には灯りがあった。

玄関には雪を払うための道具が置かれ、掲示板には手書きの当番表、節電の注意、給油記録、むつ・東通方面の連絡予定が貼られている。

サヤはそれを見て、思わず言った。

「ここ、ちゃんと生活してる」

案内の女性は頷いた。

「生活は続いています。物流は苦しいですけど、電気があるのは大きいですね」

食堂に入ると、温かい空気と食事の匂いがあった。

大きなテーブル。

湯気の立つ鍋。

炊飯器。

壁際に積まれた水や保存食。

テレビは点いていないが、代わりに地図と無線機が置かれている。

そこは、ただの社員寮の食堂ではなく、下北半島南端側の連絡拠点になっていた。

三人は食堂の一角に案内され、夕食を一緒に取ることになった。

米飯。

味噌汁。

野菜の煮物。

缶詰を使った魚料理。

保存食の漬物。

華やかではない。

けれど、これまでの旅で何度も感じてきた「人が人のために用意した食事」だった。

サヤは椀を受け取りながら、小さく言った。

「道の駅で寝る覚悟だったから、食堂はありがたいね」

ミズホが答える。

「ちゃんと温かいものがある」

シオナは静かに頷いた。

食事をしながら、情報交換が始まった。

まず三人が話した。

東京から北上してきたこと。

神町駐屯地、舟形、庄内、にかほ、秋田駐屯地、大館、矢立、大鰐を経て青森へ入ったこと。

浪岡の避難拠点。

青森市内の状況。

青森港で自主隔離していたフェリー。

青森市民病院と薬局で医薬品を確保し、フェリーへ非接触で届けたこと。

フェリーと青森駐屯地の通信をつないだこと。

浅虫から野辺地へ進み、野辺地病院に医薬品を渡して燃料を補給してもらったこと。

食堂にいた人たちは、誰も軽く聞かなかった。

何人かは地図に書き込み、何人かはメモを取り、行政関係者は青森市側の情報を一つずつ確認した。

「青森駐屯地は大湊とは連絡が取れていないんですね」

「はい」

シオナは答えた。

「ただ、青森港のフェリーから、青森に入る前の夜に大湊方面で明かりが見えたと聞きました」

その言葉に、横浜町側の人々は少し表情を緩めた。

作業着の女性が言った。

「それは、見間違いではないと思います」

サヤが顔を上げる。

「大湊、生きてるんですか」

「ええ。むつ市内も、大湊方面も生きています。下北半島全体としては、終末ウィルスの流入は大きくありませんでした。東通方面の電力も維持されています。通信と物流が途切れたことが一番の問題です」

ミズホが確認する。

「医療は?」

「むつ総合病院を中心に、維持はされています。ただし、外部から薬や消耗品が入らないので、節約しながらです。感染爆発がなかったのは幸いでした」

行政関係の男性が地図を指した。

「ここから大湊へは、国道279号線でむつ方面へ向かうのが基本です。天候が良ければ、明日には大湊まで行けるでしょう。ただし、海沿いの風と雪には注意してください。夜間はやめた方がいい」

シオナは地図を見た。

横浜町。

むつ市。

大湊。

ずっと遠かった場所が、ようやく現実的な距離になっていた。

サヤがぽつりと言った。

「明日、本当に大湊なんだ」

ミズホはすぐに言う。

「天候と体調次第」

「はいはい」

シオナは少し笑った。

「もうそれは分かってる」

ミズホは真面目に続けた。

「分かってるならいい」

横浜町側からは、空き部屋が提供された。

「寮の一室を使ってください。今は巡回者や連絡員用にいくつか空けています。暖房も入りますし、シャワーも使えます。ただし節電中なので、長時間の使用は控えてください」

サヤの顔が明るくなった。

「シャワーあるんですか」

「あります。温泉ではありませんが」

「十分です」

シオナも礼を言った。

「助かります」

その夜、三人は寮の空き部屋に案内された。

部屋は簡素だった。

ベッド、机、収納、暖房。

社員寮らしい実用的な空間。

それでも、暖かく、明るく、外の風を防いでくれる部屋だった。

サヤはベッドに腰を下ろし、ほっと息を吐いた。

「社員寮に泊まる戦車旅」

ミズホが荷物を置きながら答える。

「もう何に泊まっても驚かないと思ってたけど、これは少し意外」

シオナは窓の外を見た。

道の駅の駐車場に、90式が停まっている。

その向こうに、下北の夜が広がっている。

だが、その夜は真っ暗ではなかった。

建物の明かりがある。

人の気配がある。

大湊へ向かう道が、ここからつながっている。

「明日は大湊」

シオナは小さく言った。

サヤは頷いた。

「うん」

ミズホも静かに答えた。

「明日の朝、体調確認してから」

シオナは苦笑した。

「そこは省略しないんだ」

「しない」

食堂で得た情報は確かだった。

下北半島は生きている。

大湊にも人がいる。

その事実だけで、三人の夜は少し軽くなった。

外では風が鳴っていた。

けれど寮の部屋は暖かかった。

東京から始まった90式の旅は、ついに大湊の手前まで来ていた。

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人とAIによる共著作品発表のため団体という形のペンネームにしました。複数の世界を、ゆっくり旅する物語を書いていきます。ChatGPTことチャティを相棒としてストーリーの概要や場面についてを対話する形で...

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