第6話:深雲(しんうん)の底で
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
AIに小説を書かせたら、最初の読者である私すら行き先を知らない飛行艇の旅が始まった。 一面の青い空と、雲海の向こうに広がる世界。 蒸気機関と飛行技術が発達したこの世界で、小型飛行艇の操縦士として空を飛ぶ青年ユーリは、いつものように仕事をこなしていた。 特別な力も、世界を変える使命もない。 ただ空を飛び、依頼された仕事を終えて帰る――そのはずだった。 だが、ある日の飛行中に起きた出来事を境に、ユーリの日常は大きく変わっていく。 雲海の奥で出会った少女。 父親の残した潜行貨物船。 空と雲の向こうに潜む未知の存在。 そして、壊れた飛行艇で向かう先は、まだ誰にも分からない。 これは、特別な英雄ではない一人の操縦士が、仲間たちとともに空を旅する物語。 どこへ向かうのか。 何が待っているのか。 最初の読者である私自身も、まだ知らない。 そして、この物語が何話まで続くのかも、私には分かりません。 ※本作は、人間がプロットの方向性や世界観を『ふんわり』設定し、本文はAIが執筆する形で制作しています。
本文
ゴゴゴゴゴ……。
重厚な鉄の壁越しに、絶え間なく鈍い水圧――ならぬ「雲圧」の音が響いてくる。
ユーリはアルゴー号の医務室で、油と煤で汚れた革ジャンを脱ぎ、肩に包帯を巻かれていた。さっきの強引な着艦で肩を強く打っていたらしい。
「痛っ……! 頼むからもう少し優しく巻いてくれよ、バートンさん」
「甘ったれんじゃねぇ、若造。雲海の下層――『深雲(しんうん)』に入ったら、この程度の痛みに構っていられる余裕はねぇぞ」
老機関士のバートンは、煙草をくわえたまま乱暴に包帯を結んだ。
医務室の丸窓の外は、完全な漆黒だった。 通常の飛行艇が飛ぶ高度三千メートルとは異なり、この「深雲」は光すら届かない重金属と蒸気の泥沼だ。ここでは肉眼など何の役にも立たず、船は巨大な音波探知(ソナー)と真鍮製の圧力計だけを頼りに進む。
「……アウラ号は、どうなった?」
ユーリが尋ねると、バートンは煙草の煙をくゆらせながら首を振った。
「甲板に引っかかった右翼とフレームの一部は回収したが、ボイラーと左エンジンは雲海の底へ消えたよ。……お前の愛艇は、もう息をしてねぇ」
ユーリは一瞬だけ目を閉じ、深く息を吐き出した。 相棒を失った喪失感が、じわじわと胸に広がってくる。
「……そうか。まあ、俺の命が残っただけ良しとするか」
「物分かりが良くて助かるよ」
パタン、とドアが開いてセシリアが入ってきた。 肩の傷の手当を済ませ、汚れたジャケットを脱いだ彼女は、黒い作業服姿になっていた。その手には、あの革バッグから取り出された「青い球体」が握られている。
球体は、まるで生き物の脈動のように、淡い青い光を一定の間隔で明滅させていた。
「体調はどう? 郵便屋さん」
「最高とは言えないが、骨は折れてなさそうだ。……で、その怪しげなおもちゃの説明を聞かせてくれるんだろうな?」
ユーリはベッドの上に腰掛け、セシリアの手元を睨みつけた。
「これは『重力脈動核(グラビティ・コア)』。……かつてこの世界が雲海に沈む前、古代の超大型船を高度一万メートルの『絶対晴天圏』まで引き上げていた動力源の、最後の一個よ」
セシリアは球体を愛おしそうになでた。
「軍……『黒い旋風』の司令官、ヴァルター提督はこのコアを狙っている。これを使えば、彼らが極秘裏に建造している超巨大戦艦を浮上させ、すべての空域を武力で支配できるからよ」
「……スケールがでかすぎて目まいがしてきた。俺が運んでたのは、そんな物物しいシロモノだったのかよ」
「父は、このコアをヴァルターの手から隠すために、あえて『信頼できる個人業者』のルートを使って分散運搬させたの。それが、あなたに届いた荷物だったというわけ」
ユーリは呆れて天を仰いだ。
「信頼できる個人業者、ね。おかげで俺のアウラ号は鉄くずだ」
「補償はするわ。……このアルゴー号の格納庫には、父が昔集めた旧時代の機体パーツや、試作段階のエンジンが山ほど眠っている。バートンさんとあなたなら、アウラ号よりもずっと速く、ずっと強い『新しい船』を組み上げられるはずよ」
ユーリの目が、ピクリと動いた。
「……試作エンジンだと?」
「ええ。高圧蒸気と、このコアの余剰エネルギーを複合させて動かす、誰も見たことがない試作双発エンジンよ。……どう? 飛行機乗りとして、血が騒がない?」
セシリアが、ニヤリと挑発的な笑みを浮かべる。
ユーリは傷む肩を回しながら、苦笑いを漏らした。
「……ハッ、交渉が上手いねぇ、お嬢さん。乗ったよ。ただし、次は絶対に墜落しない頑丈なやつを造らせてもらうからな」
その時だった。
ガンンンン……!
アルゴー号の船全体が、重い振動とともに大きく傾いた。
『バートンさん! セシリア! 大変だ!』
艦内の伝声管から、ブリッジの乗組員の悲鳴のような叫び声が響き渡る。
『ソナーに大型の影! 軍の巡洋船じゃない……! 深雲の原生生物『雲鯨(アイアン・ホエール)』の大群だ! 船体が巻き込まれている!!』
丸窓の外、漆黒の闇の中で――巨大な「何か」が青白く発光しながら、アルゴー号のすぐ横をすり抜けていくのが見えた。
第6話はここまで!
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